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ほしみっつ④にしおりをはさみました!
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ほしみっつ④
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「モモくんとはね、昨日、初めて喋ったよ」
「…昨日、はじめて…?」
倉橋の言った言葉をオウム返しのように口にする。
会話したのが昨日はじめてのクセに、今ではあんなに馴れ馴れしいのか、あのノッポ…。
くそムカツク顔を思い出し、眉間にシワを寄せる。
人たらしめ。上っ面の優しさで、人の心を手玉にとったつもりか。仲良くするフリが人よりちょーっと上手いだけの腹黒のくせに。
倉橋みたいな馬鹿はああいうのにすぐ騙される。
箸を握る手に思わず力が入る。そんな俺の様子など目もくれず、倉橋は更に嬉しそうに話しだした。
「それでね、一緒にお弁当たべたんだぁ。話してみたら、すっごく優しい人だったよ!」
その笑顔が心の底から気に食わない。
感情の赴くまま、ギロリと睨みつけてやると、困ったような焦ったような顔をして声を震わせた。
「あ、いや、さっきはちょっと…アレだったけど…」
“アレだった”などと言葉を濁したが、言いたい事はわかる。
普段は優しい筈なんだけど、サキくんにだけは態度が悪かったよね~!とかそういうことだろう。
イライラし過ぎて言葉も出ない。
フッと鼻から抜けるような溜息をしてみると、まるで俺を励ますかのように肩に手を置いてきた。
「お、落ち込まないで!サキくんとモモくん、絶対仲直りできるよ!僕も協力するからっ!」
「…お前はホント、いちいちむかつくな」
肩に置かれた手を掴み、勢い良く引き剥がす。
「ーーーいいか。倉橋。俺はアイツの友達でも何でもない!」
「仲良くする気なんてないし、仲良くなりたいとも思わない!ーーいや、むしろ口も聞きたくないし顔も見たくないくらいだ!」
勢い良く、キッパリと言いきる。
先程までは、怒鳴る気も失せたとかなんとか思っていた筈なのに、もう止まらなかった。
更にまくし立てるよう、声を荒らげる。
「それにな、お前、一回飯食っただけで誰でも友達か?殆ど喋ったことないやつと、ちょーっと口聞いただけでお友達なのか?」
「あのノッポが友達なら、お前にとって俺は何なんだよ!飯食っただけじゃなくて、家にも泊まって、学校だって一緒に来たぞ!」
「親友か?大親友か?それとも家族か?!答えろよっ!」
ずい、と顔を寄せ、怒鳴りつけるように言うと倉橋が「ひっ」と声を漏らした。
その時、間近で見る瞳が、潤んでいることに気が付いた。
「……っ」
大きい声を出しすぎたかもしれない。
これ以上怯えさせないためにも、寄せた顔をあわてて引き離した。
「わ、わりぃ…」
倉橋は特に悪いことなんてしてないのに。些細な事でイライラしてしまう短気な自分が悪いのに…。
謝ってはみたものの、罪悪感が生まれてくる。
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