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北村 北村父sideにしおりをはさみました!
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北村 北村父side
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シロカワのところの子たちが音楽室から出て行き、残されたのはワシと、千夏ちゃんと、藤堂と…そして、バカ娘。
はあ、と大きな溜息をつくと、バカ娘の肩がビクッと震えた。
それを皮切りにしたように、ぐしゃぐしゃになった顔でワシを見上げて謝り始める。
「ご、ごめんなさい、お父様…。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…っ!」
「…何に対して謝っているのか、明確にしなさい」
「…シロカワの子供に、手を出したこと、です。
キタムラはもう、切られるでしょう…」
実は、その点について心配はいらない。
そんな浅い付き合いをしていたわけではないし、切ると向こうも困る部分があるのだ。
ただ、その事は隠してバカ娘を詰る。
「そうじゃのう…もしかしたら、全員殺されるかもしれん。
お前のせいでな」
「申し訳、ありません…っ」
そう言って泣きじゃくる姿は、バカ娘がまだ小学生だった頃を思い出させる。
…この子が泣かなくなったのは、いつからだっただろうか。
「…なぜ奏太くんを襲ったのか、言え」
「…奏里じゃなくて、チャンスだと思ったからです」
「そもそも何故襲おうとしたのか聞いておるのだ」
「………っ」
黙り込むバカ娘。
大体の予想はついている。
藤堂からの報告は受けていたし、自覚はあった。
そう、こんな風にワシがこの子を責める資格なんて無いのだ。
ワシがゆっくりと近づくと、バカ娘の顔がどんどん下を向く。
そして跪くと、またもやビクッと震えた。
…強張った体を、ふんわりと抱きしめる。
「…すまんかったのぅ」
「…!?」
「ワシが余りにも奏里ちゃんばかり褒めるから、嫉妬していたのだろう?」
そう言うと、胸に軽い衝撃。
どうやら軽く叩かれたようだった。
「…えぇ、そうですっ
お父様はいつも奏里のことばかり…
私が何をしても褒めてくれないどころか薄い反応しか返ってこない!!
お父様のことが好きだから、好きになって欲しくて!
お父様のために手を汚してまで色々なことをしてきたのに、お父様は、振り向いてくれない…っ」
数度ワシの胸を叩くと、腕がだらりと垂れ下がる。
全てを吐き出して脱力しきった体を、一層強く抱きしめた。
「…それじゃよ。
ワシはな、お前に手を汚して欲しく無かったのじゃ」
「…??」
「お前には、後を継がせる気は、無い」
「…!?
どうして…、や、やっぱり、私が、使えないから…?」
「…違う」
「じゃあ、どうして…っ!」
「お前のことを愛しているから、じゃ」
そう言ったときのバカ娘の間抜けな顔は、一生忘れないだろう。
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