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コドモの言い分にしおりをはさみました!
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コドモの言い分
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ぱしゅん!
「なめてんのか!?」
威勢良くいったものの、思い切り振り上げた手は勝谷の綺麗な顔を見るとなんとも力のない平手打ちになってしまった。
しかし、幸希はめげずにぐっと顎を上げた。
「いい加減にしろよ…俺が何したっていうんだよ。」
幸希は衣服を整えながら、勝谷の横を通り過ぎようと駆け足で扉へ向かった。
「…だよ…」
下を向いていた勝谷がモゴモゴと呟いた。
「えっ?」
幸希は反射的に聞き返してしまい、胸の中で舌打ちをした。
(あ〜もう!置いてけよ!)
勝谷は今度は顔を上げ、真っ直ぐに幸希を睨んだ。
「なんで連絡くれなかったんだ!」
「あっ…」
今度は幸希がたじろく番だった。
「あの…それは…」
「俺、待ってたんだよ、毎日。携帯何度も開いて…待ってたんだよ!」
急に子供っぽく口を尖らせて、勝谷は幸希に食ってかかった。
「待てよ…それは…」
「一度めに番号渡した時はワクワクした。二度めはガッカリしたけどめげずにもう一度渡した。三度めはどんな顔して渡せばいいんだ…?」
その哀しそうな瞳に幸希は言葉を失った。
(なんでだよ…俺にどうして欲しいんだ…?)
幸希は唾を飲み、勝谷から顔を背けた。
「もういいだろう、お坊ちゃん。」
勝谷の視線が痛かった。でも顔を上げれなかった。
「君が折角くれた連絡先を失くしたことは謝る。悪かった。君は俺と友達になりたかったのか?だとしたら多分無理だよ。俺はもう30のおっさんなんだ。君と友達になれる歳ではないよ。ごめん…」
横目でちらりと勝谷を見ると傷ついたような表情のなかに熱く燃えるような瞳が幸希の心を乱した。
「金で処理するなんて、何だか後味悪いけどこれで終わりにして下さい。じゃあ…」
幸希は大きく息を吸って、扉を開こうとした。
(終わった…)
なぜかちくりと胸が痛んだ。
「また来てよ!」
幸希は目を見開いて、勝谷に振り向いた。
そこには華やかなタキシードを着て、必死に微笑む勝谷がいた。
「…また?」
「コンビニ…また来て下さい。」
さっきまで強気だったのに今はうんと幼く見える。
「うん…またね…。」
ガラガラ
「あっ!さっきの誘拐犯!?」
幸希と入れ替わりに先ほど追いかけてきていた男とが入ってきた。
携帯には何度も金田から不在着信が入っている。
「いたいた!見つけた!!
何やってんのよ、勝谷くん!ミス女王さまめ、めっさ怒ってんよ。早く行こう!」
『あっ、雨宮さん?よかったぁ〜〜繋がって。』
『あいつ繋がった?』
『何しけ込んでやがんだ?こんちくしょう!』
『雨宮さぁ〜ん。さっきの子も連れてきて下さいよ〜〜。』
『ちょっ…勝手に喋んないでください!携帯がアホになる。雨宮さん、今どこですか?』
幸希はぐるりと周囲を見渡すが、全くわからない。
「わかんないから、とりあえず外にでる。」
『了解しました。じゃあ正門で!』
「金田くん…」
『はい?』
「早く帰りたい…」
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