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失恋した。にしおりをはさみました!
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失恋した。
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失恋したんだって自覚したら、余計に哀しくなった次の日。
仕事に行かなきゃいけないのに、全然行く気になれない。
なんか目も腫れてる?
休みたい。けど、仕事だもんな…はあ…
俺は重い腰を上げて仕事に行くことにした。
仕事場では意外と真面目だしな。
「あ、裕基くん、おはよ。」
「はよ…」
「…どしたの?」
「いや…別に」
この人はこういう時に絶対話しかけてくれる。優しい人。
「そっか…無理しないでね。」
本当に心配そうな顔をするこの人は、福田清正(ふくだ きよまさ)通称キヨ
一応先輩だけど、歳が近いし、向こうがあんな風にのほほんとしてる人だから、友達みたいに話しかけても全然怒らなかった。
むしろ嬉しいみたいで、キヨって呼び始めた頃は、呼ばれるたびにお得意のふにゃっとした笑顔で応えてくれた。
あ、思い出したらちょっと元気出たかも。
忙しく仕事をして、昼休みになった。
コーヒーを淹れながら、携帯の画面を見たら、"藤原碧"の文字。
うっ…思い出させるなよ…ああ、だめだ、全然忘れられそうにない。
名前見ただけで涙出るとか…どんだけだよ俺…
「なんで泣いてるの…」
「え?…ぐすっ…キヨ?」
「なーんーでー泣ーいーてーるーの。」
「う………ちょっと、失恋。」
「好きな人、居たんだね」
「まあ…ね…」
セフレだったとか、そんなこと言えないし。
人に言えない恋ってなんだよ。
「告白したの?」
「ううん…相手に、好きな人ができたんだって…」
「そっか…」
「友達だし…応援しなきゃ。」
「…その必要は、無いんじゃない?」
「なんで?」
「だってまだ…思い出して涙が出るくらい、その人のこと好きなんでしょう?」
「うん…」
「じゃあまだ…応援は良いんじゃないかな…裕基くん自身が、裕基くんの気持ちを否定しちゃだめだよ…」
「………………」
「ん?」
「うん…」
気づかなかった。
確かに、俺が1番自分を否定していた人間なのかもしれない。
「よく、頑張りました…」
「っ…//」
くそ…こんな時にそのふにゃっと笑顔はずるいぞ…可愛すぎるんだよ…もう…
「目」
「め?」
「腫れてるよ」
「ああ…昨日も泣いてたから…」
「これ。」
そう言ってキヨはあったかいタオルをくれた。
「?」
「目、あっためて。」
「ありがと…」
「そしたら冷やしてね。」
「うん…」
「休んでて良いから、腫れが引いたら、戻ってきなよ?」
「わかった。」
そう言ったらキヨは少し笑って、仕事に戻った。
なんだかんだ言って、歳上なんだなあと実感する。ちゃんと俺のこと見てくれてるんだ…嬉しい…
なんて、口には出さないけど。
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