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キヨのこと。にしおりをはさみました!
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キヨのこと。
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お得意の猫かぶりも、キヨには通じなかった。
会社の飲み会で、誰か釣れるかな〜なんて、黙ってたらクールに見えるキヨを誘ってみたのが、仲良くなったキッカケだった。
色っぽく話しかけてみても、酔ったふりをしてみても、ただ普通に心配するだけのキヨを、最初はすごく、苦手だと思った。
でもその時、今までの男たちとこの人は違うんだろうなとも思った。
こんな人が現れたら良いのに、なんてゲイには贅沢な夢だ。
こんな完璧なノンケがまず俺を好きになるはずがない。
「やめた」
「…え?」
「普通に喋る」
「え?…うん」
「名前は?」
「福田清正だよ、キヨって呼んで。みんなそう呼ぶから」
「俺は加瀬裕基。呼び方は…なんでもいいや。」
この時にはもうすでに、キヨの印象はふにゃっと笑う人だった。
話しててわかったけど、この人は、人の幸せが自分の幸せみたいな、幸福心の塊だった。
ただ素直に、友達になりたいと思った。
それから会社でも一緒の部に配属されて、デスクも隣で、今こんな感じなわけだ。
目を冷やして、席に戻ったら、キヨが俺の方を見て少し笑った。
「良かった」
「ん、返す、さんきゅ…」
気恥ずかしくてちゃんとありがとうって言えない自分。
さんきゅって言うだけでもかなり頑張ってる方なわけで、顔は赤いと思う。
それに対して、
「どういたしまして。」って微笑むキヨは、やっぱり大人だと思った。
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