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決意の日。にしおりをはさみました!
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決意の日。
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いつも通りの朝、何かが違うとすれば、それは俺の心持ちの問題。
「おはよ、裕基くん」
「うん、おはよう」
挨拶できるのも、今日で最後なのかな…
いつ言えば良いのかな。
こうやってちゃんと告白しようと思ったの、中学生の時以来だなあ…
仕事をして、お昼を一緒に食べて、気づけばもう、帰る時間。
決意はどこに行ったんだ…
「加瀬くんお疲れ様〜」
「あ、どうも、お疲れ様です」
会社の中でも営業スマイルは重要だ。仕事ができなくても、これがあるだけで多少のことならカバーできる。まあ俺は仕事もちゃんと出来るけど。
じゃなくて、キヨどこ行ったんだ…
まさかもう帰った?
駐車場まで来てみたら、キヨの車はまだあって、ここに居たら会えるかなあなんて思ってたら案の定。
「裕基くん!」
「あ、キヨ…」
「あの、余計なお世話かもしれないんだけど…今日、1日中上の空だったけど、何かあったの?」
「えっ…俺上の空だった…?」
「うん。」
「まじか…」
1日中キヨのこと考えてた。
って言ったら、どんな反応するかな。1日中、キヨにいつ告白しようか悩んでたって言えたら、どんなに楽かな。
「おれ、最近の裕基くん見てると心配…」
「そうか?………ん…あのさ…ちょっとだけ、話聞いてくれる?」
優しい。すごく優しい。
俺に優しくて、皆にも優しい。
俺を見つけて、心配してくれる人。
そんなキヨに、ただただ伝えたいと思った。俺の気持ち。
「もちろん。」
柔かに笑ったキヨの顔を、ずっと見ていたい。
「俺さ、最近、好きな人が出来たんだ。」
「そうだったんだ…」
「その人って、すごい優しくて、その優しさが俺にはキツくて、1度、逃げてしまいそうになったんだけど。」
「うん。」
「けど、その人がね、追いかけて来てくれたんだ。あったかくて、この人が側に居てくれたら、他には何も要らないなって思えるくらい。ただ、好きなんだ。」
「うん。」
「それで…その人にいつ告白しようか迷ってて…」
「そっか…」
「うん。それでね、率直に言ってしまうと………お、俺さ、キヨのこと、好きなんだ。」
言ったぞ俺…!
心臓の音がうるさい。
否定されるのが怖い。
「…え?おれも、好きだよー」ふにゃ
こいつは…でかいくせしてどうしてそんなふにゃっと笑うんだ、このど天然め…じゃなくて!
「違くて、俺の…好きってのはさ…?」
「んー?」
「こういうのなんだ。」ちゅ
背伸びをして、これが最後でも良いからから、どうか気持ち悪がらないでくれと願った。
「…………………」
あ…黙られた…やっぱだめなのかなあ…
ぎゅっと閉じた目を少しずつ開けた。
「…気持ち悪かった?………って、なに笑ってんの…?」
「だって、嬉しくて?」
「え…?」
「おれ、ほんとは好きじゃない女の子には、触られるのも苦手でさ。」
「う、うん……」
これは…ふられるってことか…?
「でも…嫌じゃ、なかった。裕基くんのは、嫌じゃなかったよ。」
「うぅ、嘘だぁ…」
「泣かないでよ…」
そう言ってキヨは、俺の涙を拭いてくれる。
もうこれで何度目だろうか。
「おれ…裕基くんに避けられてるんだなあって思った時、結構哀しかったよ?」
「うん…顔見てたらわかった…ごめん…」
「……もう一回、キス、してくれる?そしたら、許す。」
そう言ってこいつはふにゃっと笑うから、俺はなんだか安心してしまって、
「うぅ、うんっ、何回でもっするっ」
「かわいい…」ちゅう
「かっ、かわいくないっ!」
今、キヨからキスした!?
「かわいいよ。」
「もうっ!……………」
あ、でも、聞きたいことがある…
「…裕基くん?」
「………あのさ、じゃあ俺たちって…今から、恋人同士…?」
「ん、そうなるね。」
「そっか…」
俺、今まで好きな人と恋人になれたことなかったから…
なんでだろ、せっかく止まろうとした涙が、また溢れ出して来て、止まらなくなった
「よしよし…」
頭にキヨの手が触れる。
それだけで、幸せな気持ちになれる。いつも俺を助けてくれた手…
「…キヨ…好き……」
少し甘えてみたくて、首元に抱きついた。
猫かぶりの状態ならこんなこといくらでも出来たはずなのに、素でキヨの前だと思うだけで、止まるんじゃないかってくらい心臓がうるさくなる。
「うん…おれも好き。」ふにゃ
ああ…その笑顔で、その甘い声で、そんなことを耳元で言われてしまったら俺は…もう…他に何もいらない、かも。
「キス、して?」
なんて言ってみる。
「……ちゅ」
「ん……もっと……」
もっと、幸せに浸りたい…
「クスッ…しょうがないなあ…」
ん?何その笑い方…いつもと違う気がする…と思った瞬間、キヨの唇が近づいてきて、あっという間に舌が入ってきてた。
「んっ……ぁ……んっ…ぅ……んんっ……」
うそ…キヨってこんなにおっとりしてるくせに…う、うますぎて……腰がっ……
チュパッと音がして、唇が離れる
キヨが俺の腰を支えてたから、倒れないで済んだけど…こいつ…年上なだけあるな…
「…大丈夫?」
大丈夫なわけないだろ…
言う代わりに、キヨを睨んだ。
「今睨んでも迫力ないよ…目がとろんとしてる…」
「そんなこと…ないっ…」
「ごめん…また泣かせちゃった…」
「別にっ…これはただの…嬉し泣き…というか、生理的な涙だから…というかキヨ!なんで…」
なんでそんなにキスうまいの?
って聞きそうになったけどやめた。なんか怖い。
「ん?」
「なんでもない…」
そう言ったら、ふにゃっと笑いながら俺の腰に手を回してきて、ぎゅーっと俺を抱きしめた。
「どっ、どうしたんだよ…」
キヨはでかいから、俺の顔が肩にうもれる。くるしい…けど、なんとも言えない幸福感が込み上げてきて、俺もキヨの肩にしがみつく。
「言ってくれて、ありがとう。」
「へっ?」
「告白。」
「あっ、ああ、うん…」
今言うなよ恥ずか死ぬ…
「裕基くんが言ってくれなかったら、おれ気づけなかった。」
「何に…?」
「裕基くんがこんなにも可愛いってことに。」
「ちょ、恥ずかしいからやめろ……」
何言ってんだこいつ…
顔が見えなくて良かった…//
「今度、2人で何処か行こうか。」
「え…良いのか…?」
「良いも何も、裕基くんが嫌じゃなければ。」
「い、行く!」
ほんとに恋人なんだ…すごく嬉しい…!
「ふふっ、うん、楽しみだね。どこ行こうか?」
「どこでも良いよ、キヨがよくお店ってどこ?」
「うーん…喫茶店とかはよく行く、かなあ…」
「じゃあ、そこにしよう」
「そんなところで良いの?せっかくの初デートなのに。」
「初めてだからこそだよ。」
キヨを知りたい。
普段どんなお店に行って、どんな風に過ごしているのか。
仕事場と飲み会でのキヨしか知らないからな…
「ふーん…」
キヨはなんだか腑に落ちない顔をしているけど。
「やなの?」
「嫌じゃないよ、おれは裕基くんが行きたいところに行きたいから。」
でた…!ふにゃっと笑顔…!
くうぅぅぅ//// 俺はきっとこれにやられたんだ。そうに違いない…
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