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18歳以上ですか?
もう一度にしおりをはさみました!
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もう一度
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約束の時間より15分遅れて生徒会室の扉が開いた。
今度こそ、入って来たのは僕の待ち焦がれた人
「来てくれてありがとう」
顔を見合わせると、お互いは一体どんな顔をするんだろうって思ってた。
怖がらせてしまわないだろうかって思っていた。
「……会長…」
でも、新は怖がってる様には見えなかった
泣き出しそうな顔をしてるけど、安心した顔をしていた
安心した顔なんて、僕の思い過ごしかもしれないけど、心のどこかでそう捉えてしまっている。
「新…」
僕は、ちゃんと新に言わなくちゃいけない
今まで君にしてしまった数々の行為。
一番してはいけない事をしてしまった事の謝罪を……
「あのね……新…」
口をゆっくりと開いた時だった
「⁉︎」
急に腹部に重い感覚がして、目の前に新の姿は無く
「えっ」
視線を下へと落とすと、新は僕に抱き付いている
勢い良く抱き付かれたから窓のある壁に背中が着いた。
ぎゅっと力を入れて顔を胸に押し当てられてる
「新…?…」
抱き付かれるなんて予想もしてなくて
鼓動が速くなる、体温が上がる
触れていいのかと戸惑いながら、ゆっくりと新の髪に触れると、ふわりと懐かしい新のにおいが鼻に届く。
「会長っ」
「…っ……」
「かい、ちょう……っ…」
僕を呼んで、抱き付いたまま泣く声が聞こえる
「……新…」
溢れてくる想いがまた止まらなくなる
“会長” なんて何気ないただの呼び名なのに
呼ばれる度に心が暖かくなっていく
「……会長…っ…」
「………」
もう一度、そう呼んでほしかった
「……俺……おれ…っ…」
「新…」
小さく震える体を抱き締めると、僕も泣きそうになってしまう。
沢山考えていた事は頭の中から消え去って
ただただ、胸にしがみ付く小さな体を抱き締めた
「ごめん…酷い事…沢山して……ごめん…」
「ゔっ……ふぇ…グズ…」
「ごめんね……新…」
何度もその言葉だけが口から零れ落ちる
言葉を発する度に、新は腕に力を入れてきて
抱き付いたまま泣き続けた
「う、ゔっ…ぐ…ゔ…」
「…………」
『新はお前を許してくれる』
成海の言葉をまた思い出す
「会長…っ…ズッ、会長…」
必死にそう何度も僕を呼んで泣いてる新を見ると
何故成海がそう思ったのか
分かる気がした
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