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返事は、にゃあにしおりをはさみました!
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返事は、にゃあ
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「会長‼︎どういう事ですか‼︎」
1限目の休み時間、僕は生徒会メンバーを集めた。
今回の件は、完全に僕の独断行為だ。
事前に知らされなかった新が怒るのは当然の事。
「あの、僕もいきなり副会長だなんて……」
大崎もまた然り。
1番混乱しているのは彼だろう。
「つか、いきなりこんな事になって清掃活動期間は何なんだったんですか‼︎こいつの事だって何も報告受けてないし説明して下さいよ‼︎」
新が指をさす方向には、微笑む水田くんが。
僕は生徒会メンバーを集めた。今朝彼を会計代理に任命したからもちろん水田くんもここに呼んだ。
……正確には、そうさせられた。
「渋谷先輩、そう会長を責めないで下さいよ」
「ああ?」
「仕方ないじゃないですか。上城先輩は不在、書記のあなたはその有様。これから更に生徒会の仕事が忙しくなるというのにそれでは仕事を回せないでしょう?」
僕は何も聞いていない。
成海がどうしてここにいないのか、新がなぜ怪我を負ったのか。
まさか、水田くんが何かしたというのだろうか。
「……色々と思う事はあると思うけど、決定が少し早まっただけた。二人とも、分かってほしい」
「…チッ」
幸い、大崎は何ともないみたいだけど、そこがまた引っかかる。
そもそも、今回の役員代理を提案してきたのは水田くんだ。
そして副会長代理を大崎にするよう僕に指示をしたのも彼。
探る様に水田くんに視線を移すと、彼は表の顔で微笑む。
「会長、俺は認めませんから。あいつがいない時に勝手に決められて、納得出来ねえ」
「すみません、僕も納得出来ない……というか、ちゃんと話し合ってからの方がいいかと…」
生徒会に亀裂が走る。もちろん僕だってこんな事になるとは思っていなかった。
二人になんて説明しよう。こういう時、成海ならどうするのだろうか。
「月島先輩……」
水田くんが耳元で囁く。
「……そろそろ二人きりになりたいんですけど」
「…………っ」
背中がぞくりと震える。
思い出したくもない昨日の出来事が頭の中に巡る。
「すまない。水田くんに仕事の説明をしたいから二人は教室に戻ってくれるかな?」
「な、ちょっと待って下さいよ‼︎俺の話はまだ」
「新」
「っ、」
「一度言えば分かるよね?」
僕が水田くんに逆らえない今、僕は君たちを守ってはあげられない。
「教室に戻りなさい」
今まで、こんな態度を新達に見せた事があっただろうか。
心を殺して、吐き捨てる様に伝えると、渋々二人は生徒会室から退出した。
水田くんと二人きりになった部屋。
彼は僕の机の上に腰をおろして高らかに笑っていた。
「水田くん、成海の事なんだけど」
「月島先輩〜」
「………………」
咄嗟に指で頬をなぞられる。
ニタリと不気味に口角を上げる彼が僕を見下ろす。
「……りゅう……」
「ふふっ、何ですか?」
彼に指定された呼び名で呼べば、嬉しそうな顔をして今度は抱き付いてくる。
最悪な事はこうも続くものなのか。
……りゅうと呼べば、浮かぶのは日野の顔。
「…………成海の事、何か知ってるんじゃないの?」
「いいえ。残念ながらボクは何も」
即答されたが、この返しは確実に何か知っている。
……最悪な事に、僕の携帯は今、水田くんの手にある。
連絡を取ろうにも手段がない。
入院……新の反応を見る限り、命に関わるような事態ではない事は確かだが、心配だ。
「検査入院なのでそんな心配する事ないですよ」
「‼︎」
顎を掴まれ、引き寄せられる。
「検査入院?って、君はやっぱり何か知って…」
「嫌だなぁ〜、渋谷先輩と大崎先輩が話してるのをたまたま聞いちゃっただけですよぉ」
「っ、離し」
「なーんて、嘘じゃないですけど、嘘です」
べろりと瞼を舐められる。
そのままネクタイを緩め始めた彼を突き放すと、取り巻く雰囲気が一変する。
「忘れたんですか先輩」
ゆらりゆらりと、体を大きく左右に揺さぶりながら、目を見開く水田くんに頭を掴まれ机に叩きつけられる。
「ボクを拒んだら許さないって言いましたよね?昨日散々体に教え込んだのにまだ分からないんですか。先輩はボクの可愛い可愛い猫ちゃんでいれば良いんですよ」
「っ……勘違いしているようだけど、……僕は君に飼われたわけじゃない。早く僕に飽きて、君も真っ当な人間になる事だ……考えを改めなさい。まだ間に合う」
「間に合うって意味分かんない。なに?先輩はまだ良い人振ろうとするんですか」
「ぐぁ」
まだ間に合う……被害がこれ以上大きくならないように、そうすれば日野の事もバレずに済む。
「……良い事思いついた。ねえ先輩、次の授業サボりましょうか」
僕の間合いのみで済ませておけば、きっと水田くんだってそれ以上の事はしないはずだ。
「返事は、にゃあ、でお願いしますね」
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