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魔法の笑顔にしおりをはさみました!
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魔法の笑顔
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夕食も終わり、チラッと時間を確認すると、もう8時をまわっていてギクッと顔が引きつった。
吉田は風呂に入っていて、母のほうは食べ終わった食器などを洗っていた。
……ほんとに、早く帰宅しないと英二さんになんて言われるか…
今度こそと思い立ち上がると、嬉しそうに吉田父が口を開いた。
「ふふふ、楽しかった!久しぶりだよ〜こんなに笑ったの」
「……?普段は笑われないのですか?」
このふわふわした男に不似合いな言葉に首を傾げる。いつも笑顔なイメージが勝手にあったからだ。
そう俺が聞くと、吉田父はうすく目を開けて言った。
「………あの子がね、こんなに素敵な友達を連れてきて、あんなに楽しそうに笑う姿を久しく見てないからねぇ。ふふ、ありがとうね」
「……ッ!!い、いえ…」
ビックリした…
なんて優しい顔で笑うんだ。
誰かにお礼を言われることに慣れてないから、思わず顔が熱くなってしまう。
片手で口を覆ってると、いつのまにか秋人が吉田父の上に乗っていてピトッと胸に耳を当てていた。
吉田父はその様子を不思議そうに眺めていたけど、やがて落ち着かせるように秋人の背中を撫でた。
ほんとに、この家族に秋人が生まれていたら良かったのに……
まあそしたら俺と秋人は出会わなかったわけだけど……秋人が傷つかずにすむんだったらなんともない。
「……あの、申し訳ありませんが…」
よしよしと秋人を撫でる吉田父に再度声をかけると、俺がなんて言おうか察したのか、すこし寂しそうに笑った。
「うん、じゃあ……そうだねぇ」
また、へらっと笑う。
この笑顔はまるで魔法みたいに心をあたためてくれる。
だから、不思議と思ってることと反対のことを口にしてしまったのかもしれない……。いやきっと魔法のせいだろう。
「………今日はこちらに…泊まっていってもよろしいでしょうか?」
ホントに………魔法のせいだ。
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