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僕の幸福理論にしおりをはさみました!
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僕の幸福理論
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アラシside
『今更許される資格なんて君にはないんだよ!』
保健医の口から出される言葉を、俺は淡々と聞いていた。
話を聞き始めてから十数分。どんな話か、どんな状況なのかはだいたい理解できた。
まず保健医と話してるもう一人の生徒。あれがヒトミって奴らしい。
前にリュウからアズマの話を聞いた時、ついでみたいに聞いたことがある。
『となりをうろちょろしてる奴がいたな…確か…目、目ん玉みたいな名前……忘れた。』
目ん玉…目ん玉ね。ヒトミ(瞳)だから遠くはないが、目ん玉なんて名前があるわけもない。興味のないことに関してはすぐ忘れるとこ、マジでアイツらしい。
にしても。
「聞く限り、かなりめんどい感じだよナァ…?」
保健医の話によると、アズマは自分の事を忘れて、さらにここ最近のことも忘れてるらしい。
保健医と初めて会った時の記憶はないが、保健医と知り合いだという自覚はあるらしいし、俺のことも覚えてるだろう。
問題なのは、自分が嵌められたという記憶がないこと。
シュウ(コイツは嵌めた張本人だし全ての元凶だから、コイツに関しては関係も覚えていなかったらしい)に嵌められた記憶がないから、クラスで虐められていたという記憶もない。
したがって、ヒトミって奴とつるまなくなったことも覚えていない。
意識を取り戻してすぐに会いたいと思うほどだ、アズマはヒトミとかなり仲が良かったんだろう。
保健医の言い方からして、ヒトミのことを好きだったのかもしれない。
とにかく、保健医はアズマに頼まれてヒトミに見舞いに来てくれと言いに来たらしい。
しかし、記憶がないのを本人に自覚させたくないらしく、さらには自殺(未遂)の原因であるヒトミには出来れば来て欲しくないのが保健医の意見。
だから、見舞いには来て欲しいがアズマの記憶に調子を合わせることと、真実を言わないことを要求している。
『…でも、俺はアズマに謝りたい。それでもう一度気持ちを伝えたい。おこがましいかもしれないけど、許してもらえたら、またアズマと一緒にいたい。』
しかし、ヒトミの意見はこう(↑)だった。
そこで、さっきの言葉が出てくるわけだ。
『今更許される資格なんて君にはないんだよ!』
それで今に至る。
「ややっこしいナァ…」
ずっと冷静に話していた保健医は、あの言葉から堰を切ったように感情を表に出し始めた。
『なんでアズマくんが飛び降りなんてしたと思ってるんだよ!!誰のせいだと…誰のせいだと思ってる!!』
ちら、と少し顔を出して様子を伺ってみた。保健医は今にもヒトミの胸ぐらを掴みかかりそうな勢いで、怒りながら悲しんでるような気がした。
あ
保健医、泣きそうだ。
なんだかそんな気がして、ちょうどつまんなくなってきたしと思いながら足を動かした。
面白い。
「ナァンか面白いことしてるじャねェかヨ。」
面白いじゃねぇか。
「アズマを見舞いに行くんだロ?俺も行きたいナァ~?」
なあ、アズマ。
「ナァ?保健のセンセー。」
お前の知り合い、ホントに面白い奴らばっかだな。
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