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逃げようとした蓮の手を押さえ付けた僕は気分が高潮してた。
彼が"大好きな匂い"と言ったからだ。
なぜか勝手に胸がうるさく騒ぎ出してゾクリと鳥肌すら立った。
この感覚はなんだろう?溢れてくるこの想いは何て言えばいい?
臆病に眉を下げて見つめてくる蓮に僕は自然と口元を緩ませた。
「────好きだよ、蓮」
「っ!」
それが今の僕の気持ちを表す率直な言葉なのに、彼は"またいつもの事か"と言いたげな溜め息を吐いて僕を睨む。
「軽々しく…言うなよ、そんな事」
「本当だってば」
「っ、うるさい…!あんたはいっつもそうだ!好きだとか何とか言って……、昨夜だって…他の奴に抱かれたんだろ?」
「……うん。楽しかったよ?」
「!?もういい──ッ!ンっ…!」
蓮が本格的に抵抗を始める前に僕は彼の口を唇で塞いだ。
最近距離を置いてたせいかそれはとても甘く感じられ、僕は何度も啄み、絡ませるともっと甘美に舌がとろける。
「ッふ…ぅ、…ン、ン…っ」
「蓮、抱きたいよ…。抱かせて?」
「……好きに、しろよ」
「……ありがとう」
「───え?」
一瞬、キョトンと蓮は目を丸くした。
抱く相手に対して礼を言うのはそんなにおかしいかな。
おかしいかもね。
「今までで一番良い思いをさせてあげる。だから感じて、僕の為に啼いて」
廓の外で抱かれたのは、蓮の初めてを奪った時以来だ。
だから楽しかった。
楽しかったはずなのに僕の中で何かがずっと引っかかって、心の底からは楽しませてくれなかった。
それはきっと、蓮との約束を破った事に対する罪悪感。
僕が抱かれてる間、蓮はきっと僕の帰りを待っていたに違いない。
だからこうして、僕が帰ってきたことにもすぐ気付けた。
蓮はいつでも待ってる。
ご主人の帰りを待つ子犬だった彼は、今や立派な成犬だ。
それでも変わらず僕を待ってた。
子犬の頃と何一つ変わらない真っ直ぐな眼差しで。
「────アイシテル。」
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