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とまどい side.諒にしおりをはさみました!
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とまどい side.諒
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「カット!!」
監督の声にハッとして我に帰る。
今の演技、俺は恭一郎だった?
それともただの柊木諒だった?
「よかったねぇ、今の演技!!」
監督からの言葉に笑みを浮かべて会釈する。
ちらりと侑紀を見やれば惚けたような顔をしている。
俺たちの周りにはそれぞれのメイクさんが寄ってきて少しの直しをしている。
「セットの準備のため5分休憩です。」
撮影スタッフの人が教えてくれたため、スタジオの隅の方による。
完全に復活したらしい陣さんを見つけた為、彼に近寄る。
「お疲れ、柊。」
「お疲れ様です。」
「らしくなかったんじゃない?今の演技。」
「そうですよね…。」
「でも、今のほうがいつもよりはいいんじゃない?俺は好きだよ。頭じゃなくて、心で演じてる感じがした。」
「陣さんにそう言ってもらえると安心します。」
天才の陣さんにそう言ってもらえると、自然と安心する。
でも。
さっきの演技は、演技であって、演技ではなかった。
だって、自分の本心が混ざってしまっていたから…。
こんなことは初めてだ。
「ふーん…。でも、完全に安心はしてないでしょ?」
「少し、とまどいますね。こんなこと今までなかったですから。」
最後まで、俺は雫谷恭一郎であらなければならない。
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