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37 健人sideにしおりをはさみました!
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37 健人side
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間もなくして、旭が静かに寝息をたて始めた。
よっぽど眠気が溜まっていたのだろう。
完全に安心しきった顔で眠っていた。
…やば、可愛い。
普段から隙が多いっちゃ多いけど、こんなに無防備な顔はしないもんな…。
そんなことを考えたら余計意識してしまって、ゆっくり顔を近づけた。
「………さ、ん」
…?
「…よる、…ひとさ……」
……また、あの人か…。
「…なぁ、…どういう関係なんだよ、あさひ…。」
聞こえはしないだろうけど、小さく呟いてみる。
ため息を付いて、窓を見上げた。
朝からずっといたけど、いつの間にか日が暮れようとしていた。
旭にしっかり布団をかけてやってから、そろそろ帰ることにした。
ーーーーガチャ。
日が暮れた1月の空気は、防寒をしていても身にしみる寒さで、肌を撫でる風もヒリヒリと刺すようだった。
アパートの階段を降りかけた時、
「あ……。」
「? …あ、この間の旭クンお友達かい?」
軽く、会釈をする。
「……お出かけされてたんですか?」
「あ、うん。ちょっとね…」
言葉尻が浮ついてる…やっぱ隠してるな。
「旭のケータイから俺に電話したの、貴方ですよね?」
その人は困った様に苦笑いを浮かべた。
俺は、何も連絡無しで此処に来たわけじゃない。
旭からの無言の着信があったからである。
不安に思って、通学の途中から旭の家へと向かうと、そこには熱はあるもののきちんと布団で眠る旭がいた。
良く考えたらおかしいのだ。布団を敷いて寝ることが出来るのに、助けを呼ぶ必要があったのか…。
考えられるとしたら、誰かが自分より先に旭の看病をしてくれていた。としか思えない。
「貴方が真っ先に見つけて、旭の看病してくれたんですよね。でも、なんでわざわざこんな…」
「俺は…、旭クン家のただの隣人だからさ。隣の人が勝手に入ってきたなんて気味悪いだろ?…………でも、ごめんね。君にも迷惑かける形になっちゃって。前に旭クンから名前聞いたことがあった君に頼るしかなくてね…。」
本当か………?
そんなただの隣人程度の関係で、夢の中でも名前を呼ぶなんて…いや、ありえないだろ。
「…旭クン、具合良くなったかな?」
すごく不安げな顔で、俺を見つめている。
「? はい。もう大丈夫だと思います。今はぐっすり眠ってますよ」
そう言うと、安堵の表情を浮かべ、
「そっか。」
と、だけ呟いた。
その表情を見て、自分の中での1つの疑いが、確信へと変わった。
ふと、その人がそれじゃ。と言って横切ろうとしたので、袖を掴んで引き止めた。
「あの、旭のこと看ててあげて下さい。あいつ寝てる時、ずっと貴方のこと呼んでました。今のあいつには……貴方が必要なんだと思います。」
そう告げて、アパートをあとにした。
これでいい。今の旭が求めるのは俺じゃない。
"夜人さん"なんだ……。
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