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timing(タイミング)
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「ナニ…?」
挑発的な言葉にアシバは怪訝に顎を引いて目の前を睨んだ。
「お前の予知の仕方だよ。俺たちの身体の瞬間的な予備動作から予測してるんじゃない。『直感的』に攻撃を予知している」
「フン…今のでそれが分かったのか?面白ェ…教えてやるよ。答えはイエス、だ」
「どの部分に攻撃が来るのかは認識出来るが、打撃か斬撃か、攻撃手段の把握までは能力に頼っていないみたいだな?」
つまり自分の目で得た攻撃情報と直感予知能力を重ねている。
「だったらどうする…?」
「それで充分だ。知ったからには勝機が見えるぜ」
言い切った男に向かってアシバが走り出した。白島は後退し距離を保つために逃げる。
「ぁあ?」
背を見せ今迄とはらしからぬ動きに訝しむも、アシバは左手の鎌を投げた。
弧を描き回転しながら襲いくるそれを白島は鞘で払うとワイヤー部分を掴む。そして鎌まで手繰り此方側へ引っ張った。ワイヤーは持ち主のベルトのリールへと繋がっている。二人の間にピン、と一本の糸が張った。
「…オレを捕まえたつもりかァ…?」
アシバはリールのスイッチを入れてワイヤーを巻き取り始め、その力に合わせて再び一気に駆け込む。しかし、白島は手を離さない。距離が縮まり運び屋の首に刃があてがわれた。
「…テメェを殺しちゃいけねェが、多少は痛めつけてもいいそうだぜェ?」
「……」
隙だらけの白島の皮膚を舐めるように切っ先がくるりと表面を滑り首輪の様に細く赤い線が滲んだ。
途端に背後から殺気を感じ、アシバは振り向きながら血の不着した鎌で空を切り払う。
「よめるっつってんだろ!」
後から狙っていたテルは飛び退くと宙返りでバランスを取って着地する。
アシバは捕らわれたワイヤーを切断し離れようとするが、逃すまいと白島は鞘を出す。攻撃を避け強奪屋の振りかざした鎌を運び屋はワザと防がなかった。
刃が左肩に突き刺ささる。
「…うッ…!」
「何!?」
避けると確信していたアシバは相手が抵抗しなかったことに動揺した。白島は苦笑を浮かべ小さく呻くと、奪った鎌でもう一方の鎌に繋がったワイヤーも切断する。そして肩から刃を引き抜いた。傷口から地面に赤い斑点が飛び散る。
武器を強奪されたアシバは慌てて数メートル程退避し身構えた。
「どういうつもりだァ…?」
「…、お前に攻撃しなけりゃ、…予知はできねえもんな…」
この男を侮っていたか、とアシバは表情を歪める。
白島は自分の刀を収め相手の武器である鎌を両手に携え敵に向かった。
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