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18歳以上ですか?
156にしおりをはさみました!
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156
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「はい」
大輔はこちらを向くとチビを渡してきた。
それを反射的に受け取る。
突然抱いている人間が変わり、戸惑っているチビ
それに気を取られているうちに彼は立ち上がっていた。
「そろそろ暗くなるよ〜君も早く部屋に帰りな?」
「……言われなくてもわかってる」
冷たい風が吹いて手の中のチビが小さく震えた。
グッと自分の身体の方に寄せ、抱き込むようにすると落ち着いたのかデカイ目を閉じて俺に身体を預けてきた。
「あはは!本当に懐いてるね〜その子にはちゃんと寝床はあるから気にしなくていいよ?」
思わず顔を上げて大輔を凝視する
こいつ……たった今考えていたことをピタリと当ててきやがった。
目を見開く俺に大輔はクッと笑う。
「君はとてもわかりやすい。よし、俺はこれで失礼するよ。またね」
大輔はそう言って手をヒラヒラと左右に揺らしながら校舎の中へ戻って行った。
「……なんだったんだ」
囁くように呟いた俺にチビが短く鳴いて答えてくれる。
モゾモゾと動き出したため、手を離すと逃げるようにして俺の腕から離れ、走って行ってしまった。
暗くなり始めたため、黒いチビは闇に紛れてすぐ見失ってしまう。
探す気は起こらなかった。
……ちゃんと帰る場所があるならそれでいい
俺はため息をついて、中庭を後にした。
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