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18歳以上ですか?
162にしおりをはさみました!
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162
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「……はい」
自分でも分かるくらい低くて冷たい声が出た。
『……仁』
久しぶりに聞いたその声は記憶の中のそれと何も変わらない……
と、言いたいがあいにくそこまで覚えていないというのが本音だ。
「何のようですか。俺はあんたと話すことは何もないんですが?」
『…父親に対してなんて態度だ。少しは育ててやってることに感謝してはどうだ?』
ほらな
いい時ばかり父親ヅラして…
何が育ててやってる、だ
まぁ、間違ってはいないが……
言い方ってもんがあるだろう
「それはすみませんでした。で?ご用件は?」
返事も曖昧でただ先を促す俺に電話越しにため息を吐かれたのがわかる。
『……もう援助はいらない。そう言ったそうだな?』
「えぇ、まぁ…」
『どうするつもりだ?まだ子供のくせに。何意地を張っている』
どうするつもり…?
それはこっちのセリフだ。
今更そんなこと聞いてきてどうしたいんだ。
「……もう俺のことは気にしないでいただいて構わないってことです。あんたらに頼る気はない」
『それはつまり、片桐の名を捨てるってことで解釈していいんだな?』
片桐の名…?
ふざけるな。
初めからその名を進んで名乗らせたことはないくせに
何の感情も含まれていないような声
聞いてるだけで胸糞悪りぃ……
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