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生徒会室爆破事件 笑顔にしおりをはさみました!
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生徒会室爆破事件 笑顔
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《三池正孝
宛先:唐澤志真
件名:おはよう☆
シマたん、おはよう!
朝早くからごめん。
テスト、おつかれー
どうだった?今日、順位がわかるね
シマたんは、やっぱり入ってるんだろうね!
そうそう。
例の件だけど、ビンゴだったよ。さすが、シマたん(^^)
おれのトモダチに調べてもらったら、GW中に帰省しないで、寮に残った人、あとシマたんがクラッカーをくらった日に、西棟の防犯カメラに映ってる人、それにシマたんが言った条件、全てにガッチリ当てはまってる人、いたよー。
そんで、他のトモダチにまた聞いたら、顔写真と名前とクラス、教えてもらったから、シマたんに送るね!
でも、写真送るけど、見つけたら、1人で接触しないで、まもちゃんでも、ゆうちゃんでも、りっくんでもいいから、誰かと一緒に接触してね。
もちろん、おれでもいいから、見つけたら連絡ね!
じゃあ、また(^^)
PS
おれのトモダチに協力してもらう過程で、宮ちゃんにかなり無理させたから、シマたんからも宮ちゃんにお礼言っといてね!》
朝、起きると携帯電話にミケ先輩からメールが届いていた。
その時間は、朝の6時。
ただいまの時刻は、朝の7時半。
ミケ先輩の規則正しい生活がうかがえる。
俺は、テスト疲れからまだ復活してない怠い身体に鞭を打ち、誘惑してくるベッドから這い出た。
ノロノロと制服に着替え、ノロノロと顔を洗い、ノロノロと歯磨きをした。
そして、もう習慣になりつつある野菜ジュースを冷蔵庫から出した。
本当は、もう飲む気力はないのだが、冷たい野菜ジュースは渇いた喉を潤すのに、ちょうど良かった。
そういえば、衛来ないな……
衛がもう俺を迎えに来てもおかしくない時間だ。
いや、衛にいつも迎えに来てもらうのが習慣になってるからだけど、本当は俺もちゃんと衛が来る前に廊下に出るのがいいとは思うものの、やっぱりいつも衛が来るのに来ないのは、違和感が……
鞄を持って俺が部屋を出るのと同時に、隣の部屋のドアが勢いよく開いた。
「うわーお、志真ちゃん。ごめん。寝坊した。」
いつもカッコよくキメている髪が、今日は寝癖を急いで直したような感じがしていた。
衛が寝坊をするのは、初めてだ。
「いいよ。いつも早起きなのに、珍しいね。」
「疲れが出たんだよ。5日間休みだったのに、興奮してたからか、ろくに休めなくて……。選りに選って、今日はぐっすりだからな。」
苦笑いしながら、衛は俺の隣に並ぶ。
ぐっすりというだけあって、衛は少し身長が伸びた気がする。
それとも、俺の身長が縮んだのか……
いや、俺も成長期。大丈夫。成長期。
「今回のテスト、相当頑張ったんだって?」
「俺、やれば出来るかもって思ったわ。人生の中のテストで、あんなに解答欄埋めたの初だわ。」
「それは、元々が問題なんじゃ……」
「とにかく、頑張ったもんは、頑張った。今日、全部返ってくるからな。楽しみだな。これで赤点とかあったら、俺は自分を疑うよ。」
「大丈夫。そんなことになったら、俺が山河許さないから。」
「志真ちゃん。顔がマジで怖いから。」
もし、衛が赤点を1教科でもとってたら、山河への貸しは成立しない。
もちろん、安田くんには、申し訳ないとしか言えないけど。
だけど、衛が赤点をとったら、衛は俺が教えるしかない、と思ってしまう。
テスト前の1週間。俺は、授業が終わっても、グランドでボーッとしていることしか出来なかった。ミケ先輩は、何故か息抜きと言ってよく俺の所に来ていたけど、それはそれで退屈しなかったから良かった。
ミケ先輩は、俺が犯人に心当たりがあると言った日から、よく俺の前で誰かに電話することが多くなった。
何か気付いたら言え、と言われて、犯人について思いついたことや気付いたことを言うと、ミケ先輩はどこかへ必ず電話をかけていた。
その相手は、ミケ先輩が『トモダチ』と言う、ミケ先輩へ情報提供をしている学園のお偉いさんであるということは、3回目くらいの電話で気付いた。
その中には、あの理事長である大江柊也の名前も出てきた。ミケ先輩、理事長のこと『しゅうちゃん』って呼んでたけど、大丈夫なのにかな……
とにかく、ミケ先輩の『トモダチ』というのは、なかなかの権力者たちだ。そこからの情報は、かなり信憑性が高い。
そんなこんなで、テストは6日前に終わり、土日を挟んで他に3日間休みが入って、木曜日の今日は、テスト返却日だ。明日からまた授業が始まる。
今日は、テスト返却だけ。
「流石に、まだ貼られてないよな。」
テストの学年別順位表の掲示予定場所である正面玄関前には、まだ人が集まっている気配はない。
順位表の掲示は、HRでテスト返却があってからだ。
俺は、ふとあることを思いついて足を止めた。
「ごめん、衛。俺、やること思い出したから、先教室行ってて。すぐ行くから。」
俺が突然言うもんだから、衛は何だか怪訝そうな顔をしていたけど、何も言わずに教室へ向かって歩き出した。
最近、衛が前の過保護を止めたのだ、と思うことが多い。宝探し事件以来だ。
あれより前だったら、俺が1人で知らないところへ行くのを絶対反対していた。
別に、反対しなくなったことはいいのだが、衛の考えていることがよくわからなくなることが多くなった。
もちろん前のように仲は良い。
もしかして、衛は、俺と山河が知らない間に繋がってたことをまだ怒ってるとか?
様子が最近変なのは、そのせいなのだろうか。
何にせよ、衛は少しおかしかった。
でも、このことは、俺の関係ないことが原因であると、もう少し先でわかることになる。
用事を済ませて、教室に行くと、色々と因縁ある浜口さんが、すでに教壇に立っていた。
何だか、久しぶりに見た感じがするけど、のんなに時間通りに来るのは、らしくない。
相変わらず、ダルそうではあるけど。
俺は、てっきり始まってないかと思って、前の扉から教室に入ってしまったため、目立ってしまった。
「志真ー。遅い。早く来いよ。みんな揃ってるぞ。」
「……すみませんでした。」
「まあ、いいや。席、着け。」
浜口さんにだけは、遅いとか早く来いとか、言われたくなかった。
俺が席へ向かう間、クラスの人たちは、俺のことをチラチラと見ている。
宝探し以降、俺のことについて、かなり色々な噂が飛び回った。
クラスの何人かは、それについて俺に聞きに来たりした。大体は、変な噂が一人歩きしたけど。
とにかく、俺は何とかクラスの人と話すくらいの仲にはなれた。
でも、正直、向こうから話しかけてくることもなければ、こちらから話すこともない。
前と少しも変わらない環境だった。
「じゃあ、ちゃっちゃと答案返却して終わるから、出席番号順に俺のとこ来い。じゃあ、1番のやつから___」
こうして、明らかに早く終わらせたい浜口さんが、どんどん答案を返していく。
俺は、唐澤だから10番目くらい。
「……志真よ。お前さんさ、いつ勉強してんの?」
「……はい?」
「まあ、いいや。……はい、答案。」
うちの学校は、テストが一気に返されるから、7枚の答案が束になって返ってくる。
まあ、確かに楽だけど、授業中に返すのが良いと思うんだけど。
その場で、採点の間違えとか、指摘出来るし、質問とかも担当の教科の人に出来るし。
まあ、競争した方が成績伸びるとか、そういう理由で、成績の順位をうちの学校は出してるみたいだから、仕方ない。
浜口さんは、俺に返却する時に少し変な反応を示したけど、まあ滞りなく終わった。
「志真ちゃん!志真ちゃん!聞いて!ヤバイよ!」
HRが終わるやいなや、衛が答案を片手に俺のところへ大きな声を出してやってきた。
俺は、もうテストは鞄にしまった。
「どうだったの?」
「全部!全部、平均点超えて、英語に関しては85点!」
「えっ?!すごいじゃん。」
「そして、7教科平均、74点!俺、やれば出来るよね?!こんな点数、生まれて初めて取ったよ。本当に。」
でも、正直、真面目に驚いた。
2週間前には、どうなることかと思ったし。
実は、教えるってなった時は、こっそり浜口さんに協力してもらって衛の中学の時のテストの成績を見せてもらったけど……酷かった。
話を少し盛って、衛が話しているかと思っていたけど、あれは盛ってなんかない。そのままだった。
「良かったね、衛。頑張った。よくできました。」
自然と緩む口元。
素直に嬉しかった。
こんなに、衛が喜んでるのが見れて。しかも、それを1番に報告してくれて。
すごく嬉しかった。
本当は、俺が教えてあげたかったけど、こんなに衛が喜んでるなら、別にどうでもよくなった。
まあ、山河に借りを作ってしまったけど、今はどうでもいい。
「志真……笑った。」
「えっ?」
「志真ちゃん、いきなりは……反則でしょ。」
衛は、そう言って何故か顔をそらしてしまったけど、どうしたのだというのだろうか。
確かに、衛の前で笑うのは久しぶりだけど……。
「??なんか、わかんないけど、俺、悪いことした?」
「いや、全然。むしろ、ご馳走さまです。」
衛が最近よくわからない。(これは、明らかに志真が鈍い)
衛は、しばらく手で顔を隠して、俺から顔をそらしていたが、やっと落ち着いたのか、順位表を見に行こうと行って、一緒に教室を出た。
今朝は、いなかったのに、玄関の掲示板には、びっくりするくらい人がいた。
上手く例えるとしたら、渋谷のスクランブル交差点の信号待ちの人のようなくらい。
みんなは、掲示板に貼られた大きな3枚の紙を見上げていた。
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