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それでも…~弱虫ペダル二次創作DCアラキタにしおりをはさみました!
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それでも…~弱虫ペダル二次創作DCアラキタ
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三週間経っても肘の違和感はなくならなかった。
医者に行ったら練習禁止だの何だの言われると思って行かなかったのもよくなかった。
妹たちとキャッチボールのまねごとしてた時に親父に見抜かれ、病院に連れて行かれたときにはもう遅かった。
この肘では、もう速球は投げれない。
かわしてとる技巧派になるか、それとも…
左握力の強化に入った俺を、先輩たちは冷ややかに見てる。
『MAJOR』か?
『巨人の星』か?
逆投げなんかカンタンになれっかよ。
わーってるよそんなコト。
でも何もしねェよりあがく方が先じゃん。
スピードはついてきた。
けどコントロールはイマイチだ。
スッポ抜けがケージの方に飛んでってしまって、チネンだし今戦力外だから自分で取りに行ったら、砂塚ってやつに拾う寸前の奴を蹴りとばされた。
見てた何人かがドッと笑い、俺は心底ムッとしたけど、いちばん腹立ったのは市治さんの態度だった。
「よ! スイッチピッチャー。調子はどうかね!」
ピッチャーマウンドの盛り上がり蹴りながら、ヘラヘラしてるのが何かムカついて、やっと拾ったボールをそのままサイドスローでほおった。
「ヘイピッチ!」
思わぬ加速ついてた。
市治さんがのけぞり、キャッチャーさんも身を縮めて、俺の球をよけた。
ボールはバックネットの網の中にガシッとはまってしまった。
誰も何も言わなかった。
矢のような球に、その場にいた誰もが息を呑んだ。
努力と根性と熱いハート。
かれはそれを持っていたが、それは人の羨望を生むばかりだった。
かれが頑張れば頑張るほど、風当たりは強まり、かれは孤立していった。
そして孤立すればするほど、かれはギラギラと美しくなっていった。
俺は苦しかった。
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