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145.✩ちゃっかりにしおりをはさみました!
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145.✩ちゃっかり
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✩✩✩✩
視界を遮られたかと思ったら、ぐっと後ろに引かれて楓さんの胸に納まる。
なんだろう、と頭にはてなマークを浮かべていると、楓さんが目隠ししてた手で頭を撫でていった。
「楓さん……今、何時?」
「あと少しで十二時だよ。ベッド行く?」
そう言ってるけど、楓さんの腕はしっかりと俺を抱いていて離しそうにない。ベッドでイチャイチャするのもいいかなと思って、頷いて楓さんの首に腕を回す。
楓さんに抱っこされたままふわりと体が浮いた。思わず回した腕の力を強くすると、楓さんがくすりと笑った。
……今日の楓さんはよく笑う。桜さんがいるから機嫌が悪いみたいだったけど、もう良くなったらしい。
桜さんはどこに行ったんだろう……。楓さんの機嫌がいいからリビングには居ないのかな……。
リビングを見渡すと、ちゃっかり俺たちが座ってた向かいのソファーにいた。
仕事をしているのかノートパソコンの画面を見ているけど、俺の視線に気付いたらしく顔を上げてこっちを見た。俺と目が合うと完璧なウインクをしてまた画面に目をやる。
「………っ!!」
楓さんに膝枕されて眠ってたのも、起きたあと微睡んでたのも、俺から楓さんに抱きついたのも……。
…………全部、見られてた……!?
一気に恥ずかしくなって楓さんの肩に顔を埋める。
まさか、楓さんの機嫌がいい理由って………、イチャイチャしてるとこを桜さんに見せつけられたから?
ちらりと楓さんの表情を窺うとやっぱり楽しそうににこにこしていた。満足気だけどどこか黒いオーラを放つ笑顔。……こ、怖い…。
楓さんは俺を寝室の床に下ろすと、ごろんとベッドに寝っ転がった。てっきりこのままベッドまで運んでくれると思ってたんだけど……。
どうして下ろされたのか突っ立ったまま考えていると、楓さんが両手を広げて「旭」と俺の名前を呼んだ。纏う雰囲気は柔らかくなっている。
「旭、おいで」
「っ、ふふ、楓さんっ!」
勢いよく楓さんの胸に飛び込むと、楓さんの匂いに包まれる。桜さんの香水とは違う、すごく安心する匂い。
「楓さん、今日どうしたの?甘えたい日?」
「そうかもね。旭が桜姉に取られないように、俺も旭に媚び売らなきゃ」
戯れるように笑う楓さんはいつも以上に優しい。
俺が桜さんに取られることなんて絶対にないのに、どうしてそこまで気にかけるんだろう…。
だけど、楓さんにやきもち妬かれるのは嫌いじゃないからしばらくこれでもいいか。そう思って誰にも邪魔されないベッドの上で、楓さんを堪能することにした。
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