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154.✩重いにしおりをはさみました!
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154.✩重い
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✩✩✩✩
たくさんある飲食店の中で、俺たちが入ったのは桜さんオススメのお洒落なカフェ。店内はほとんど女性客でカップルも少なかった。
パーテーションで席が区切られているからか、桜さんはサングラスを取ってメニュー表を見ている。
「ランチセットにしようかな〜。アサくんは?」
「じゃあ、俺もそれで」
俺も桜さんも食べ物の好き嫌いは特にないから、ちゃちゃっと決めてホール係の店員を呼ぶ。
楓さんが作ってくれる料理なら、あれもこれも…って悩むところだけど、こういう所では大抵すぐに決まるんだよね。
ほどなくして二人分のランチセットが運ばれてきた。いただきますをして二人で楽しくおしゃべりをしながら食べ進めていく。楓さんのこと、学校のこと、海外での生活のこと………。昨日以上にとにかくいろんな話をした。
食後の紅茶を飲んで少し食休みしていると、桜さんがカップに視線を落としたまま「……ねぇ、アサくん」と口を開いた。
「アサくんはさ、楓と付き合っていて、楽しい?」
俺もカップを手にしたまま桜さんを凝視する。
なんの話が始まるんだろうと不安に思っていると、桜さんは俺に視線を向けてふわりと微笑んだ。
その目元が楓さんに似ていて、少しドキッとした。
「……楽しい、ですよ?」
「そう……楓と一緒にいられて、幸せ?」
「はい、幸せですよ」
「なら、良かった」
いつもと雰囲気が違う桜さんの質問に戸惑ったけど、ちゃんと本心から幸せだと答えた。
……この質問はいったい何なのだろう。
「楓は……どうだと思う?」
「どう、って………」
「……いや、アサくんといた方が絶対に幸せだよね……」
桜さんは何が言いたいんだろう。質問の意図を測りかねていると、桜さんは深くため息をついて俺の目をしっかり見つめて話し始めた。
「楓にね……、お見合いの話がきてるの。本人もたぶん知ってる」
「……え……?」
「うちの実家って本家とか分家とかあって……まあ少し面倒くさくてね。親戚のおばさんが、ぜひ自分の子どもを楓の伴侶にって言ってるらしいの」
「えっ……、え、ちょっと待ってください。どういうことですか?」
お見合いって……。なにそれ、どういうこと……。
混乱する俺をよそに桜さんは話し続ける。
その内容は俺の知らない楓さんや実家のことで、俺にとっては気分が下がるものだった。
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