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168.✩誘うにしおりをはさみました!
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168.✩誘う
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✩✩✩✩
家に帰ると楓さんの姿が見当たらなくて、キッチンで夕飯の支度を始めた桜さんに聞いたら仕事部屋にいると言われた。
部屋着に着替えてからさっそく仕事部屋に行ったけど、ノックをしても返事がなかった。よっぽど仕事に集中しているのか、それとも何か別のことをしているのか……。
とにかく一秒でも早く楓さんと話したかったけど、仕事の邪魔はしたくなかったから、中に入ることをためらっていた。
しばらく悩んだ末に楓さんと話したい欲求の方が勝ったから思い切って部屋に入る。相変わらず機材やら何やらで雑然としている仕事部屋で、楓さんはデスクに突っ伏して眠っていた。照明と暖房はついているけど、パソコンの画面は落ちていた。
「楓さん………」
控えめにかけた声もすぐに消えていって、楓さんが起きる気配はない。
楓さんがここで寝るなんて、よっぽど眠かったんだろうな。特に最近は寝つきが良くなかったみたいだし。
「楓さん……楓さーん……」
「……ん……」
肩を揺すると楓さんは一瞬眉間にしわを寄せたけど、目を開いてゆっくりと体を起こした。
斜め後ろにいる俺に気がつくときょとんとしていてなんだか可愛かった。
少し会話すると楓さんは立ち上がって部屋から出て行こうとした。
話している時の楓さんは疲れが溜まっているみたいで終始ダルそうだったから、これ以上話し続けるのもどうなんだろうと思った。でも桜さんの手伝いをするって言ってたし、この部屋から出たらきっと話すタイミングがなくなっちゃう……。
そうこうしているうちに楓さんは部屋から出て行ってしまった。話せなかった、とがっかりしながら楓さんの後についていくと、楓さんはキッチンではなくリビングに入った。
あれ、桜さんの手伝いをするんじゃないの……?
楓さんはソファーに座ると隣を叩いて、俺に座るように促してきた。もしかして気付いてくれたかな、なんて少し期待してしまう。
「どうしたの。何かあった?」
俺の顔を覗き込むようにして聞いてきた楓さんの表情にドキッとした。今朝もそうだけど、いちいち楓さんの表情にドキドキしている気がする。
一度意識してしまうと顔が熱くなってまともに楓さんの顔が見れなくなって、柚里からもらったアドバイスも、帰り道に一生懸命考えていた甘え方も、全部頭から飛んでほぼ勢いだけで楓さんをデートに誘っていた。
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