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171.✩今夜にしおりをはさみました!
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171.✩今夜
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✩✩✩✩
今日は必ず楓さんを説得する、と柚里たちと約束した俺は、玄関に入る前に一度深呼吸してからドアを開けた。「ただいまー」と奥まで届くように言うととたとたと足音を立てて楓さんが出てきた。
「おかえり旭」
「ただいま楓さん。……あれ、桜さんは?」
いつもなら俺が帰ってくると真っ先に出迎えてくれるのに。出かけてるのかな?
単に疑問に思って聞くと楓さんはちょっとむすっとした表情になった。
「……今日明日って泊まり込みで仕事だってさ。なに、桜姉がいないの不満?」
「不満じゃないけど!じゃあ、今日は二人きりだ……ね……」
二人きりだね、って口に出せば、どきりと心臓が高鳴った。そっか、久しぶりに楓さんと二人きりなんだ……。
…………もしかしたら……今夜、す、する……のかな……?あの日以来ヤってないし……いや、あの日もヤってはないんだけど!
……でも桜さんが来るまでは毎晩シてたんだし……。
ふとそんなことが頭をよぎって、急に意識し始めてしまって楓さんの顔が見れなくなった。頬がすごく熱い。こんなことを考えてしまう俺って欲求不満なのかな……。
そんな俺に追い打ちをかけるように楓さんは口を開いた。
「そうだね、二人きりだね。……で、何でそんなに顔赤いの?」
「えっ!?そんなことないよ!」
「……どうせ『今夜抱かれるのかな……』とかそんなようなこと考えてたんでしょ?」
「………………だめ?抱いてくれないの?」
そういう類のことを考えていたのは本当だから、開き直って否定せずに聞き返す。すると楓さんはほんの一瞬驚いたように目を丸くしたけど、すぐにふっと微笑んで熱くなった俺の頬を撫でた。
「だめじゃないよ。……いっぱい抱いてあげる」
「…………っ、い、言い方、狡い……」
「ははは、顔真っ赤。可愛い」
俺を茶化して前を歩く楓さんの後ろ姿を見てはっとした。
いけないいけない……。目先の欲に目がくらんで柚里たちとの約束を果たせなくなるところだった……。
説得するんだったら、流されないうちに、俺の思考がはっきりしているうちにしないと。
ヤり始めたら俺はぐずぐずに溶かされて、まともでなんかいられないんだから。
火照った頬をパチンっと叩き気合を入れ直して楓さんの後を追った。
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