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187.✧帰りたいにしおりをはさみました!
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187.✧帰りたい
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✧✧✧✧
思った通り金髪くんたちのユニットのレコーディングがさくさく進んで予定時間よりも早く終わった。帰ろうとしていたら社長に捕まってスタジオも空いてるし新人の調子を見てほしいなんて言われて、結局断れずにスタジオに逆戻りだ。
……うん、まあ、さすがにあの社長の頼みは断れないでしょ……。
今日の仕事はレコーディングだけらしく金髪くんたちも見学とか言ってついてきて、そんなに広くもないコントロールルームに俺とユニットの二人、あと新人のマネージャーとなぜか社長がいる。ブースでは新人ちゃんが一人で頑張ってるけど、なんかもう……想像以上に期待はずれだった。
「全然だめ。やる気あるの?社長の新しいお気に入りか何か知らないけど、こんなんじゃ話になんないよ?」
「うっ……平坂さんが怖い……」
「女性に対しても容赦ないですね……」
俺の後ろでそんなことを言ってる二人にも、初めはこんな風にきつい言葉を投げていたっけ…。
何度か仕事をしてくうちに俺の考えてることを汲み取ってくれるようになってぐんと成長したけど。
「なんだかんだ怒ってても最後まで面倒見てくれるんだもんね〜。平坂さん優しいから!」
「でも、甘えっぱなしにならないようにしないとですよね。いつまでも平坂さんに面倒見てもらうわけにもいかないですし」
「えー、俺はずっと平坂さんがいいな〜。他の人はまだよく分かんないよ……」
「だからそういうわけにもいかないでしょう?変な所で人見知り発揮してないで、ちゃんと平坂さん以外の……――」
新人のことそっちのけでわいわい騒いでる二人を横目に、ぐるっと部屋を見渡して機材に向き直ろうとしたら、やたらとにやにやした社長と目が合った。
「……なに、にやにやしてるんですか」
「いや、平坂が楽しそうだなーと思って」
「はあ?むしろ進まなくてイライラしてますけど……」
「イライラするけど楽しいんでしょー?平坂、育てがいがあるって、なんでも出来ちゃう子よりちょっとは不出来な子の方が好きじゃん。そんな歪んだ性格の平坂のために用意したのがその新人ちゃんだもん。ありがたく受け取って、煮るなり焼くなりご自由にどーぞ♡」
「…………性格、歪んでるのはどっちだか……」
俺の呟きを華麗に無視した社長はすらりと長い脚を組みかえた。
「あとこの子たちみたいにフィーリングが合う子が好きだよね」
「え、平坂さん、俺たちのこと好きなの?嬉しい〜!俺も平坂さんのこと好き〜!」
「……キャンキャンうるさくて本当すいません……」
このぶっ飛んだ人たちの中に、常識人というか真面目な黒髪くんがいてくれてよかった……。俺一人だったら絶対ここに入ってそう何分も経たないうちにギブアップしてただろうな……。
ああ、早く旭の待つ家に帰りたい……。
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