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買い物_2にしおりをはさみました!
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買い物_2
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まっすぐに瞳を向けられて、ますます縮こまる。
この感情はなんて言うんだろう。
嬉しいようなはずかしいような
くすぐったい感じ。
出来ることなら、このまま何事もなく過ごしたい。
でも、相手は夏彦だ。
弱いものを徹底的に叩き、這い上がれないように根こそぎ奪う。
今もどこか近くにいて、僕が罠にかかるのを手ぐすね引いて待っているんだろう。
写真だって1枚しかないって事はない。
それが世間に公表されてしまったら…?
優也さんに迷惑がかかるんじゃ…
「何か余計な事考えてるな。」
勝手にウダウダ悩んでいると、優也さんに頬をつつかれる。
「心配かけたくないなら、離れるな。」
「…でも…」
優也さんの携帯がなる。
画面をみて瞬時に仕事モードの顔をして電話をとる。
僕は汚い。
その上、それは近くにいる事で優也さんの弱みになる。
それがじわじわと理解できた。
どれだけ近くにいたくても、この人に迷惑をかけるだけだ。
視線の端で、世界で一番見たくない物をとらえた。
エレベーターの扉に映る人物。
この位置からして僕の斜め後ろにいるんだろう。
優也さんはまだ電話中。
咄嗟に立ち上がると優也さんに腕を掴まれた。
「どこへも行かせない。」
「と、トイレに…」
写真のデータを回収しないと。
「…愁の嘘は顔にでる。馬鹿なこと言わずに帰るぞ。奏介が駐車場で待ってる。」
それ以上、何も言わずに僕の手を引っ張って優也さんは歩き出す。
また、怒らせてしまった。
僕がとろうとする行動はもれなく優也さんを怒らせる。
少しでも役に立ちたいと思うこの考えが間違っているんだろうか。
邪魔になりたくない。
自分の過去くらい、自分で片付けてしまいたい。
そのためには、どうしても夏彦にもう一度会わないといけないだろう。
それで二度と優也さんに会えなくなるとしても
不利益を被らせるよりマシだ。
一体どうしたら…
僕の汚さが全て露呈して、嫌われる前になんとかしたいのに。
腕を掴む力は緩む事なく、人混みを進んでいく。
どこまでも、この背中についていきたいけど
それは僕の身勝手だ。
大切にしないといけないのは
この人そのものなんだから。
なんとかしなくては。
夏彦が動き出すその前に…
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