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平穏の崩壊にしおりをはさみました!
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平穏の崩壊
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ある日
四時限目の授業が終わり、さて楽しみの弁当の時間だと意気込みながら鞄に手を伸ばした時だった。
「南、呼ばれてるぞ」
「あ?誰から」
廊下側にいたクラスメイトがわざわざ窓際の俺の所までやって来たかと思うと、何故かコッソリ耳打ちをされた。
クラスメイトが指を差す方に目を向けて、
「ゲッ」
すぐに目を逸らした。
「なぁお前、何したんだよ」
「知らねーし」
「知らねーじゃねーだろ、だってアイツ・・・」
「あー、だっる」
眉間に深く皺を刻んで廊下から俺を睨むその男は、例の速見 健人だ。
ついにこっちを見るだけじゃなく、お呼び出しというわけか。
まぁ、ただ無言の視線を感じるだけなのも不愉快だったから、行動を起こしてくれたのはありがたい。適当にボコられるなり気に食わないなり言われれば、もう視線を感じることはなくなるだろう。
面倒だが、とにかく今は速見 健人の所へ行くしかない。
速見 健人の存在に気づいたクラスメイト達が徐々にざわつき始めた。
「行ってくる」
「大丈夫か?俺、ついて行こうか?」
「へーき。死にゃしねーだろ」
心配してくれるクラスメイトの肩を叩いて、鋭い目付きで睨み続ける速見 健人の元へ歩み寄る。
「何」
わざとたっぷり不機嫌な声色で、速見 健人の目を見返した。
「ついて来い」
目の前まで行けば、案外簡単に目を逸らしてすぐに歩き始めた。
短い言葉だが、敵意は感じない。
教室の中からの心配そうな視線に気付いて振り返ると、友達がこちらを不安そうな目で見ていた。
「へーき。行ってくる」
ヒラヒラと後ろ手を振って、俺は速見 健人の後を追って歩き始めた。
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