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18歳以上ですか?
<9>にしおりをはさみました!
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「いい子にしてた?おいしそうな牛タンがあるよ!」
哲平、君は僕に会いたいんだね。残念ながら僕はそうでもない・・・
「仕事あがったら行くよ。じゃあね」
電話を切る。僕は今日哲平と寝るのか?それができるのか?
正直わからなかった。自分がどう反応するのか。哲平に抱きすくめられて、僕はどうなるんだろう
どっちにしても気が重い
店をでて電車の停留所に向かう。その僕の隣に車がすべり寄る。
「トモキ」
車から聞こえたのはミサキの声だった。まさかと思った僕は立ち止った。
「乗って」
ミサキがそういうから僕は助手席にのる。
ハンドルを握るミサキは何だか変だ。車を運転していること自体に違和感がある。
「運転できたんだ・・・」
僕の呟きに返事はない。
「ミサキの家でおりるよ。そこから電車に乗るから」
ミサキは前を向いてハンドルを握っている。乗れっていったくせに、不機嫌そうにされても僕にはどうしようもない。
「いいよ、トモキの行くところに降ろすから。どう行けばいい?」
「いいよ、そんな。なんで車なの?」
「月曜に南のほうにいかなくちゃいけないから会社の車をあてがわれた。トモキと別れたあと朝倉の家にいくことになっているから、車をおいてから行く。僕はその前に君を送り届ける」
「そう・・・」
ミサキの家から哲平のところまでは電車に乗っていくとそんなにかからない。
「どこにいくの?」
「どこって・・・ミサキの家から少し歩いて電車にのるよ」
「そこまで送り届けるよ」
「いいよ、そんなことしなくて」
「僕がそうしたいんだ、トモキ」
ミサキの頑なさに少し驚くと同時にウンザリする。僕には僕の生活があるんだよ、ミサキと一緒でね
「じゃあ、このまま南にいって」
僕達はそれっきり黙りこくった。僕はミサキの横にいるのに哲平とこれから逢ってどうするのか、自分がどうふるまえるのか心配している。その不自然さに気持ちが沈む
「電車の線路が右に曲がるから、そこを曲がって。そしたらまもなくだから」
ミサキを見る。凍ったような冷たい横顔だ。だってどうしようもないでしょ?そうだろミサキ
「トモキは残酷だね。別の男のところに送らせるなんて」
僕のイライラは頂点に達する
「ミサキ、あなたが送っていくって言ったんだよ。僕はそれを望んでいなかったのに」
「僕は・・・そうだね。情けない男だ。君がどこにいくのか知りたかった。知りたくないのに。
知ることでこれからトモキがいない生活に立ち向かえるような気がしたんだ。でも今後悔している。だって意味のないことだと気がついたから・・・」
僕は何も言えなかった。昨日の言葉を思い出す。「逆だったら?」
もしこれが逆で、僕がミサキを家族のもとに送る立場だったら?
どす黒い想いが心にのしかかる
そんなことは耐えられない。そんな現実は重すぎる
ミサキ、そんなに自分を虐めなくていいのに・・・
「ミサキ、もし逆だったら・・・僕がどうするか教えてあげるよ」
ミサキが僕の顔を見る。諦めにも似た表情は僕の心に火をつける
「そこの道を左にはいって」
車はなめらかに左折する。
「その先右手に病院があるから。そこの駐車場に止めて」
病院はもう診療時間も終えている。面会時間を終えて駐車場に車はいない。真っ暗なガランとした場所の真ん中に車がとまる。
ミサキは僕の顔をみて、不思議そうだ。
「ミサキ、逆だったら僕はこうする」
僕はおもむろにミサキのベルトに手を伸ばした。ミサキがびっくりしたように手で僕の腕をつかむ
構わずベルトをはずしてスーツのパンツをひきずりおろしトランクスの上からミサキを握りこむ。
力を失っている・・・。気がつく、ミサキが昂ぶっていないのを知るのは初めてだ。
僕は下着をおろし、ミサキを咥えた
「と、ともき、どうしたの・・・んん」
そうだよ、ミサキ。話す必要はない。
僕は執拗にミサキを舐めまわす。裏筋を舐めあげ、先端に舌を尖らせる。
どんどん口のなかで大きくなるものを吸い上げ、吐き気がする一歩手前まで深く咥えこむ。
右手で根元を扱きあげ、口で深く吸い上げる。
左手で下の柔らかい袋を優しく揉みしだく
車内にはミサキの息遣いしか聞こえない。最初戸惑っていたミサキの手が、今僕の頭に置かれている。むずがるように髪をまさぐる仕草は、さらに欲望に火をつけ、舌が膨らむ
根元を握る手は唾液ですべり、舌先はミサキの味を感じる。
僕自身もジーンズの中で膨らみ、痛いぐらいだ。たぶん濡れてしまっている。
ミサキの太ももに力が入る。僕が舐めあげ、吸い上げるたびに腿の内側がひきつれるように収縮する
もうすぐだね、ミサキ
「んん・・あぁぁ・・と、とも、だめだよ。も・・う」
僕はやめてあげない。やめる気もない
いっそう深く、いっそう早く、そして強く
どんどんミサキを追い上げる
ミサキが足を突っ張る。僕の頭をまさぐっていた手はもう動いていない。もっと深く飲みこむのを助けるように強く僕の頭を押さえこんでいる。
ミサキがどんどん大きくなる
「と、ともき、ああ、だめだ、イク、い・・」
ミサキの声はクラクラする、痛いぐらいに大きくなっている僕が脈打つ
「だ・・めだ。あぁあぁ・・・あ!」
いっそう深く飲み込んだ僕の喉奥にミサキの欲望が放たれる。
「んん、あぁ・・ああ・・・んん」
ビクビクと痙攣しながら声をもらすミサキを丁寧に舐めあげる。僕が口を離しても、まだ力を失っていないミサキをみて僕の後ろがキュっと締まる。欲しいけど・・今欲しいけど、ダメだ。
ミサキは荒い息を吐きながら潤んだ目で僕を見ている
そんな顔しないでよ、ミサキ・・・我慢できなくなる・・・
「ミサキが家族のもとに帰るとき、僕はこうやって自分をあなたに刻みこむよ。」
僕は挑むようにミサキをみる
ミサキは悲しそうにほほ笑みながら言った
「こんなことされたら・・僕は帰れないよ・・・」
僕の言葉になのか、それとも大阪になのか・・・どっちともとれる言葉がミサキの口から零れた
僕は車を降りた。
「僕は帰れないよ・・・」
その言葉だけで充分だった。ミサキは僕のものなんだ。
ひきつれるようなミサキの味を喉の奥に感じながら、一人歩き出す。
哲平のところに向かって・・・
哲平の家に合鍵で入り、急いでタンスに向かう。下着を取り出して履いているものを脱いだ。やはり下着は濡れている。ここで自分を慰めることを考えたけれど止めた。いつ哲平が帰って来るかわからない。汚れた下着をカバンにつっこみ冷蔵庫をあける
中に口のあいていないミネラルウォーターがあった。コップに注ぐ間も我慢できずラッパ飲みをした。喉の奥がイガイガする。
流れ込む水が少しだけミサキを洗い出す。
ようやく一息ついたところに哲平が帰ってきた。
危ないところだった・・・僕が20日ぶりに会う恋人に思ったのは、そんな酷いことだった
「なんだよ、冷蔵庫の前に座ってラッパして。コップにいれて飲めばいいのに、子供みたいだね」
哲平の優しい笑顔は僕の心を引きつらせる。
にっこり笑った哲平は僕の手からペットボトルを取ると、そのまま口をつけて飲み始めた
あああ・・哲平、それは・・今
ミサキの味がしないだろうか?さんざんミサキを舐めあげた僕が口をつけたペットボトルだよ
この時初めて僕は罪悪感にかられた
今ここで正直に話したら哲平はなんていうだろう。他の男を咥えてきた口で飲んだ水を君も飲んだんだよって言ったら、哲平は僕を殴る?
ミサキがいなくなったとしても、僕は哲平と一緒にいられないと確信した
僕は一人になるべきだ
哲平・・・ごめん
そのあとどうやって過ごしたのかあまり覚えていない。
お土産の牛タンを焼いて食べた
ビールを散々のんでワインを2本あけて、酔った振りをして早々に寝た
寝たふりをした僕に哲平がキスをしたけど、応えなかった
ミサキを舐めあげた口にもらったキスは苦かった
もう僕は哲平とキスができないだろう。それを悲しんでいない自分を知ってしまった
ミサキがいなくなったら一人になりたい・・・
それが僕の望みだった
朝、哲平が目を覚ましたのがわかったけど、僕は寝たふりをしていた。
ミサキとの関係は哲平との穏やかなものとは次元が違う・・・まったく別のものだと思っていたけれど、昨日気が付いてしまった。
まぎれもなく僕は哲平を裏切っている。ただの身体の関係で期間限定のものだと考えていたのに、それはもう違うものに育ってしまった。
ミサキは僕に名前をくれていた・・・。それを思い出すだけで胸が温かくなり、そしてミサキを抱きしめたい・・・。
その時哲平の唇が頬に触れたから反応しないように努める。
「僕は起きるよ・・」
君は僕が目を覚ましているのに気が付いているのかな。でも僕は君のことは考えてはいなかった。
哲平、やっぱり僕は君と一緒にいられないよ・・・ゴメン
哲平が仕事に出て行ったあと、部屋の中にある自分のものをまとめ始めた
タンスの中にある衣類、洗面所の歯ブラシや洗顔料。料理をするのは僕の担当だったから、調理器具もいくつか。一緒に買ったレンジやトースターは置いていくことにする。僕の家にもあるし、持っていくにしても荷物が多すぎる。
本棚の中にある僕の本。下駄箱のなかの靴。
自分の空間がないと生きて行かれないと哲平に言ったくせに、この部屋には僕のものがたくさんある。
2年の時間の長さと重さを目にして、涙がでそうになった。
哲平は何も悪くない。何が起こったのかわからないだろう。
僕も言うつもりもない、だってうまく説明ができない。
「他に好きな人ができたんだ」といえたらどんなに楽だろう
好き・・じゃない。魅入られたんだ、お互いに。その違いを何も知らない相手に理解してもらえると思えない。
さんざん迷って僕が置手紙に書いたのは
「ごめんね、僕は一人にならなくちゃいけないんだ」
たったこの一行だけだった・・・。
荷物を玄関まで運ぶと、とても自分で持っていかれる量ではなかったから、そのまま家をでてミサキのところに向かった。
マスターと会うのに車を家においてから行くと言っていたような気がする。昨日病院の駐車場で自分がしたことを思い出して身体が熱くなるのを止められない。
哲平といたときには冷え込んでいたのに、自分の中にある熱を感じて浅ましさを実感した。
休日運行だからか電車がなかなかやってこない。
哲平はもう会社についただろう。飲食店勤務の僕が日曜休みで、会社勤めの哲平が平日休みだから、僕達はどこかに出かけることが少なかった。休みが合うことがなかったから。
それなのに、どこかに行こうなんて・・・。
哲平はいつも優しかった。
僕は君に最後まで優しくなかったね・・・
ようやく電車がやってきて乗り込む。10分も乗ればミサキの家にいける。
携帯を知っていたら来てもらえるのに。でも僕達は番号を知らない。メールアドレスも知らない。
いらないと思った。ミサキも思ったのだと思う、聞かれもしなかった。
そして僕達は痕跡を怖がったのだと思う。後に何かが残ったら耐えられないと無意識に気がついていたのだろう。
合鍵で玄関に入る。何も知らないのに鍵だけ持っていることに気がついて可笑しくなる。
笑いをかみ殺して中にはいると、いつも床に座っているミサキがいない。
寝室に行くとまだ寝ていた。もうすぐお昼だよ・・・。
「ミサキ?」
僕は勝手にベッドにもぐりこんでミサキに声をかける
目を開けて、何度か瞬きをしたあと僕を認めて不思議そうな顔をする。こめかみを指でおさえて眉間にしわをよせたから頭が痛いのかもしれない。
「マスターに飲まされた?」
「ん、ともき?ほんとにトモキ?」
僕はミサキのおでこにキスをする。
ミサキは僕の耳元に鼻先をよせて言った
「ホントのトモキだ・・。おはよう、どうしたの?」
「ミサキ、まだ車ある?」
「ん、あるよ」
「お願いがあるんだ」
「運転したいの?」
ミサキが鼻先を僕の胸元にすりつける。甘えるミサキなんて初めてだから照れくさい。
「僕は免許をもっていないから運転はできないよ。それでね荷物を運びたいんだ。できるだけ早く」
「荷物?」
「哲平・・のところから僕の家に・・・」
ミサキは顔をあげて僕を見る
何も言わない
僕も言わない
「わかった・・起きるよ。」
ミサキは僕をぎゅっと抱きしめたあと立ち上がった。
「行こう」
荷物を移動させる間、ミサキは一度も車を降りなかった。僕もこれは自分で運ぶべきだと思ったし、自分の部屋にミサキを入れるつもりもなかった。
僕の部屋は現実だ。ここにミサキが足を踏み入れたら、戻れなくなる。
僕と同じ考えかどうかわからないけど、ミサキは動かなかった。それでいい・・・。
20日以上帰っていない僕の家は郵便受けに半分くらい中身が溜まっていたから確認してポストの横のゴミ箱に捨てる。埃の溜まった部屋に運んだ荷物を適当に置いていく。掃除をしたいところだけど、それは今じゃない気がした。
一人になったら、荷物を整理して掃除して・・自分の気持ちにも整理をつける
そう僕は決めた
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