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足りないものにしおりをはさみました!
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足りないもの
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井成と別れて自分の家へと帰り着くと、母親が夕食の支度をしていた。「ちょっと! ただいまくらい言いなさい!」とお玉を持ってやってきた。
「母さん、それ行儀悪いよ。」
そう言うと、母親は「もう!」と言いながらキッチンへと戻っていった。
自室に入った俺は、カバンをそこらへんに置いてからベッドに倒れるように寝そべった。ふかふかとまではいかないが、それなりの柔らかさで俺を受け止めてくれる布団。
はあー
大きなため息しか出なかった。寝そべりながら考えるのは、牧野のこと。
「今日、結局牧野と全然喋ってないな。」
もとは俺のせいなのだ。牧野はちゃんと言っていた。どうしてあの時、素直に喜ばなかったんだろう。どうして、井成にとった牧野の態度を怒ってしまったんだろう。牧野が井成に対して冷たかったのは、こうなることを見越していたからだったのかもしれない。
誰にでも優しくすればいいというものではないことを、今更ながら思い知った。
それにしても、井成は一体何者だろうか。突然牧野と話してみたいとか言い出したり、俺たちの間に入ってきたり……もしかして……
モシカシテ、井成ハ牧野ノ事ガ好キ?
突如現れたクラスメイト。牧野は今までずっと一人だったから話しかけ辛かったと思う。でも、俺が牧野と普通に話しているのを見かけたら、井成だってチャンスだと考えたのかもしれない。
日坂が話しているんだ。それならば俺にも話せる。
そう考えたに違いない。
…………って!!!
あああああ!!! 何考えてんだよ俺は!!!
ヤキモチにも程があるだろう!!
いいか、相手は男だ。牧野も男だ。
あ……俺も、男だ。
いやいやいや!
よく考えろ!!
いや、考えすぎだ!
普通に考えて、友達になってみたかった的な感じだよ!
うん、それだ!!
一人でベッドの上で悶えていると、カバンの中に入れていた携帯が鳴り出した。いきなり鳴り出したので驚いて飛び起きる。音からして、これはメールだ。一体、誰が俺にメールをしてきたんだろう。心当たりは山ほどあった。一年の時に出来た友達とか、今のクラスメイトとか……そう、井成とか。
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