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憎さ余って可愛さ100倍 にしおりをはさみました!
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憎さ余って可愛さ100倍
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「うるっせェ!死ね!いつもウッゼーんだよテメーは!!俺に話しかけるな!」
「僕はね、君が留年しないようにと思ってだな」
「センコーか!!よけーな世話だボケ!!ほっとけ!死ね!!」
「死ね?!?!」
罵声を発しながらズカズカと歩き去ってゆく金髪ヤンキーの後ろ姿を見て、明日提出期限のプリントを片手に立ち尽くしたまま溜め息。
学級委員長だからといって何故こんなチンピラみたいな奴の面倒まで見なければいけないのか・・・。
校内を探し回ってやっと見つけたかと思えば罵声を浴びせられて終わるし。
いかにも頼りなさそうな担任がコイツを持て余すのは仕方がないが、自分にその役回りがくることはおかしい気がする。
別に罵倒されるのは構わないが言う事を聞いてくれる気配が全くないんだよなぁ。
明日提出のプリント、受け取ってもらえなかったし・・・
「担任に一言伝えてから帰るか・・・」
職員室に寄り帰ろうとした時、教室に忘れ物をした事に思い出した。
面倒だけど、一度教室に戻るか。
放課後の人がまばらな校内、教室の前についた時ドアを開けようとした手をピタッと止めた。
中から誰かの声がきこえる。話し声・・・?
趣味が悪いとわかりつつ、ドアにピッタリとくっついてす耳を澄ます。
「んだよ・・・触んな!!」
「こんなに仲良くなったのにさ、なんでそんな冷たいの?」
「いつテメエと仲良くなったんだよ気色悪りィな邪魔だ」
机の中に入れっぱなしの辞書を取りに行きたいがなんとなく教室に入りにくい。
というかこのすごく口の悪い人、さっきのヤンキー君ではないか。
ドアに張り付いたままこの状況をどうするか考えていた時だった。
突然ガタン!!と大きな音が聞こえ、暴れているような音と言い争う声がきこえた。
「離せ触るなキチガイ野郎が!どけや!!」
「恥ずかしがんなくていいよ」
「うっっっっざ死ねホモ野郎!!!」
ドアの小窓からこっそり中の様子を覗く。
あのヤンキー君が見た事の無い男子生徒・・・多分上級生に押し倒されていた。
殴り合い?!いや、一方的な暴力?!止めなくては!!と思ったその時、無意識に教室の扉をバーン!と、勢いよく開けてしまっていた。
言い争いが聞こえていた教室が一瞬にして静まる。
「ケンカはよせっ・・・!!ケンカ・・・?」
小窓からではよく見えなかったが、床に押し倒されていたヤンキー君の制服ははだけていて、肌が露わになっている。
ヤンキー君に馬乗りになっている男子生徒はチャック全開パンツ丸見えのしかも興奮状態にあるのかテントを張っていた。
状況が飲み込めない。
「一体っ・・・、な、何をしてっ・・・!」
「なんだ、邪魔が入ったね。ちょっと遊んでただけだよ」
こちらが動揺を隠せずにいたら馬乗りになっていた男子生徒は言い訳のような言葉を吐いて、そそくさと身支度を整えて教室から出ていった。去り際に舌打ちが聞こえたぞ。
静まり返った教室の中で、はだけた制服のまま床に胡座をかくヤンキー君とドアの前で立ち尽くす自分。
とりあえず、歩み寄って手を差し伸べてみる。
「大丈夫か・・・?」
「・・・・・・。」
差し伸べた手をバシッと叩かれて、自分で立ち上がる彼を近くで見たら意外に肌が白いことだとか顔立ちが非常に整っていることが初めてわかる。
この性格のせいで女子なんかはとくに寄り付かないんだろうなぁ・・・。金髪だし。いつも怖い顔してるし。
自分の机から目的のものを取り出して鞄に入れながら、ふと疑問に思っていたことを尋ねる。
「あの人、上級生だよな?付き合ってるわけじゃなさそうだけど・・・」
「はあ?付き合ってるわけねーだろ。ここ一ヶ月くらいまとわり付かれてたんだよあのクソ気持ち悪りィ奴に」
襲ってくるとは思ってなかったけどなと言いかけた彼の手を見たら、小さく震えていてシャツのボタンをうまくつけることが出来ていなかった。
いくら男といえどもいきなり襲われたら怖いよな・・・と思いつつ、ボタンを締めてやろうと手を伸ばすとまたもや叩き落される。
ほとんど着崩れている状態のまま鞄を持って教室から出て行こうとするヤンキー君の腕を思わず掴んで引き止めた。
鋭くてきっつい視線を向けられるが、怯まず言う。
さっきまで彼をめんどうな問題児と思っていたはずなのに、それは自然に出てきた言葉だった。
「あの、また・・・あの人に付きまとわれるかもしれないし、その・・・これからしばらくは用心棒というか・・・側に居させてくれないか?」
「・・・・・・テメェ俺をバカにしてんのか」
「バカになんかしてない」
「うせろ」
「1人でいるより2人の方が安全だろう!」
冷たい言葉を吐かれてもめげずに後ろをついて話しかける。
学校を出てからも偶然帰り道が一緒で、無視されながらも懸命に話しかけ続け、一番最後の別れ際には「あーうぜー!!もう勝手にしろ!」と呆れながらも返事をしてくれた。
そして今だ!と、無理やり渡した明日提出のプリントはグシャっと音を立てて無造作に鞄に押し込まれていた。一応渡したからな、先生。
また明日!と声をかけても返事はなかったけど、今日1日で彼との距離はめちゃくちゃ縮んだ気がする。
彼のどこに惹かれたのかそもそも惹かれているのか?
自分でもわからないのに、なんだか彼が気になってしまうのだ。
これが恋のつぼみと自覚するのはまだ先の話。
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