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秋の朝1にしおりをはさみました!
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秋の朝1
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夏休みは終わったのにまだ夏が残る
久しぶりの登校、久しぶりの電車
少しどきどきしながら電車に乗る
あ、いた
俺の指定席に座るのはあのお兄さん
まるでそこはずっとお兄さんの席だったような、そしてまるでそこが俺の指定席であるかのように腰掛けるお兄さんの隣
久しぶり、お兄さん
心の中で話しかけ、少し早く打つ鼓動
居て良かった。と謎の安心
そしてまた、肩へ、重み。
どきどきどきどき高鳴る心臓
お兄さん、俺の肩で、疲れない?
心の中でそっと問いかけて、触れた肩から聞こえないかな、なんて乙女のようなことを考えた自分に笑けてきた。
そのままじっとお兄さんの頭を支える。
ここで1つ問題。俺は次の駅でおります。さて、どうしたら良いのでしょうか。
変化なくすーすーと眠るお兄さん。起きる気配は...ない。どうしよう。どうしよう。
ぐるぐるぐるぐる頭を働かせる。
けれど結局、答えは見つからなくて。
プシューとドアの閉まる音と共に俺は自分の降りるべき駅を見送った。
まあ、ね、元々早い電車乗ってるからね、遅刻はしないもんね、うん。
そのまま1駅、2駅と見送る。
空はまだ夏のような綺麗な青。
お兄さん、気持ち良さそうだな、と考えながら3駅目に到着し、車内アナウンスが流れたその瞬間。
ぴくっと頭が動いたかと思えば、ばっ!と顔を上げて周りを見渡すお兄さん。
うわっと小さな声が聞こえた瞬間、勢いよく立ち上がる。お兄さんが慌てだすもんだからそれが伝染して。
「え、うわ、ごめんなさい!」
俺は何故か謝っていた。急に謝られたお兄さんも驚いてドアの外で振り返り、
「え?!ごめん!か、カバン当たっちゃった?!ご、ごめんね!!!」
プシューと閉まるドア。
1人車内に残された俺。
謎の謝り合い。ビバ日本人。
その変なやりとりを思い出して込み上げる笑いを抑えながら次の駅で乗り換えて学校へ向かった。
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