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「俺も奏真もホモなのかなぁ」
全裸でベッドに腰掛けた颯一は肩を落としたように呟いた。
さっきまで人の下でアンアン言っていた癖に何言ってんだよ、と思ったけど、思春期の高校生には受け入れがたい事実かもな。
「男しか愛せないんだったらゲイじゃないのか?」
「違いがよくわからない…。でも俺は奏真しか愛せないから、やっぱゲイなのかなぁ…」
「…俺達はさ、一緒にいすぎなんだと思うよ?四六時中、颯一の剣道中以外はほぼ一緒じゃん?お互いの家行ったり来たりで寝泊りしてるし。だから、大学とか就職とかで離れて、環境が変わったらもっとお互いに好きな女の人ができるかもよ」
俺が冷静にそう言うと、颯一は涙目で俺に振り返った。
そしてベッドに寝転がる俺に被さるように抱きついてきた。
「だったら俺ホモでいいや。俺奏真が好き、奏真と離れたくない」
「そうか…なら…」
なら、の後の言葉が続かない。
奏真の言葉に、俺は何て答えたんだっけ。
*
小学校教師の朝は早い。
高校時代の思い出が色々改変されながらも夢に出てきた日の朝、俺はいつもどおり目を覚ました。
シャワーを浴びて、ヒゲを沿って、ワイシャツにネクタイを締める。
リビングに行くと、市場から帰ってきてずっと起きていたらしい颯一がテレビを眺めていた。
「おはよぉ~。朝ごはん米でいい?」
「おはよう。あぁ、頼む」
颯一は眠い目をこすりながらキッチンに立つと冷蔵庫を開けた。
自分と颯一が飲む分のコーヒーをサイフォンで入れてから、テーブルに着いて飯が出来上がるのを待つ。
一緒に暮らしてきてからずっと颯一が料理を作る後ろ姿を眺めてきた。
ひょろひょろと細く、薄いその背中。
「颯一」
「んー?」
「いつもありがとうな」
私の言葉に、颯一はすごい勢いで振り返った。
驚いて目を見開いた表情はすぐに照れくさそうな笑顔になる。
恥ずかしそうに顔を赤らめながら、照れ隠しをするかのようにでかいボールに卵を割っていく。
「な、なんだよもぉ~。驚かすなよ!」
「いつも感謝してるよ。ありがとな。愛してるよ」
「ちょちょちょ、何?何なの?もぉー!お、俺も愛、愛して…もぉ!」
「落ち着け、一体幾つ卵割るつもりだ」
卵一パック全てを使った今日の朝飯は、卵のトロトロ具合が素晴らしいオムライスだった(朝から重いが)。
機嫌の良い颯一に顔中キスされまくってから家を出た。
ありがとうも愛しているも、簡単に言えるのに。
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