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No.13/モブ男にしおりをはさみました!
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No.13/モブ男
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加賀が、テーブル越しの向かい側からオレにメニューを渡してくる。
「桜井、何でもいーから好きな物頼め。」
「じゃあ、俺はデミグラスサイコロステーキ！」
「能戸、お前にはおごらねえよ！勝手に自腹で食え。」
「えーっ、冷たいよ加賀。」
加賀の隣りに座ってるノトが怒られてるのをぼんやり見る。オレはやっぱり帰りたくなってきた。朝、加賀に誘われた時は嬉しくて、頷いたけど…。
この2人は友達なんだろーけど、オレはただの同級生で仲良くもない。居心地悪い…。
「ほら、桜井。遠慮すんな。」
加賀が優しく言ってくれるけど…ダマされてた事がどうしても悲しくて…。メニューも見ずに、俯いて涙をこらえる。
「まことっち、いっつもそんな無口なの？」
ん？まことっち？
「ちょっ、能戸！何勝手に下の名前いじって呼んでんだよ、クソ羨ましい…、」
「んー？加賀も、下の名前呼んで欲しかったんだ。京平っち。」
「違うわ！お前になんぞ呼んでほしくねえよ！俺が桜井の名前を呼びてえの。」
「呼んでいーけど。」
2人がこっちを見た。
「…真琴。…なら、俺の事は京平って呼んでよ。」
加賀が、なんか恥ずかしそうに言ってくる。何だろな…ちょっとは友達になれてるって思ってもいーのかな。でも、きっとオレのこと嫌いだからバカにしてダマしてたんだろうな…。あ、また悲しくなってきた。
…ん？
あれ？
眠くてよく覚えてねーけど、昨日の夜中に…オレが好きとか言ってた？
「京平、」
昨日の事が本当か確かめようと名前を呼んだら、すっごい嬉しそうな笑顔になった。
あれ？
なんか…なんでか、どきっとした。
そんな、照れたようなハニカミ笑顔っての？そんなんされると…びっくりする。
なんか、そわそわして落ち着かない。
「まことっち、俺は？儀一って呼んでよ。」
ノトが言ってくる。
「キイチ。」
言われた通りに呼ぶ。キイチは何故かオレじゃなくて、京平を観察するようにじっと見てる。オレもつられて京平を見た。
ムスッとして、不機嫌そう。さっきまであんな笑顔だったのにさ、なんだろなあ。
「へえ、やっぱりね。」
キイチが、口の端を吊り上げて笑った。
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