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04にしおりをはさみました!
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04
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「尚っ……嬉しい」
胸から顔を上げてくしゃりと顔を崩して笑う蓮に、ドキッとした。
こんな風に笑うのは中学以来じゃないだろうか。高校に上がってからずっとヘラヘラ笑っている蓮しか見た事がなかったから。
今、その笑顔が俺だけに向けられていると思うと、堪らなく嬉しい。
今日は今までで一番幸せだって、思った。
ずっと、蓮を好きでいて良かった。
嫉妬は恥ずかしいって思っていたけど、その嫉妬のおかげで今蓮とこうして抱き合えてる。
「いつから?」
「へ?」
「いつから俺が好きなの?」
締まりのない顔で尋ねてくる蓮に、言ってしまいそうになる。
でも、確信したから。
蓮は離れないって、分かったから。
今なら何でも話せる。
「中一の時から。蓮、初めて俺に好きな子が出来たって話したよな?…その時に気付いた」
「…そっか、長かったんだね…。俺が思っているよりも、ずっと辛かったよね。……待たせてごめんね」
「…ふっ」
その言葉と同時に、ぎゅっと強く抱き締められて涙が溢れた。
「俺、尚の気持ちに全然気付けなかった…毎週金曜日、俺が連絡する度に尚を傷付けてたね」
「ち、違うっ。俺が勝手に好きになったから…だから、蓮は悪くない」
「ううん、違うよ。俺、尚に自分の気持ちに気付いて欲しいって思ってたんだ。少しでも意識して欲しくて…。尚、忘れてるだろうけど、高等部に上がって直ぐ、誰かに告白されてたでしょ?その時に、尚が好きだって気付いたんだ。…あの日が、金曜日だったんだよ。だから、告白を金曜日にして、尚の所に行っていたんだ…」
遠回しにし過ぎて、気付くわけないよね、
そう言って、笑う蓮の瞳には涙が滲んでいた。
好きな月日が長いとか短いとか、そんなの関係ない。
どれだけ相手を想っているのか、それが一番大事なんだと思う。
毎週金曜日、蓮が欠かさず俺の所に来ていた事は紛れもない事実で、伝えたくても、簡単に伝えられない気持ちがある事は解っているから。
それだけ、俺の事を想ってくれていたんだって今なら思う事が出来るから。
「俺を好きになってくれて、ありがとう」
溢れる涙は止めないでおこう。
この涙の分だけ、気持ちがいっぱい蓮に届けばいいな。
まぁ、俺の気持ちはこんなもんじゃ済まないんだろうけど。
「……尚」
名前を呼ばれて、ゆっくりと目を閉じた。
重なる唇は、自分からしてしまった一方的なキスよりも、温かくて、切なくて、とても甘いものだった。
俺達は何度も唇を重ね、角度を変えては啄ばんで、舌が触れれば絡め合い、流れる唾液は飲み込んで。
瞼を開けると大好きな人の顔が近くにあって、切れ長な蓮の瞳が俺を見つめていて、重なる肌に、重なる鼓動。
感じる事が出来るのは、彼が俺を好きで、俺が彼を好きだから。
蓮を、もっと知りたい。
蓮を、もっと感じたい。
唇を離し、背中に回している腕の力を少し強めて、
「蓮…、しよ?」
自分から、求めた。
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