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2にしおりをはさみました!
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宵っ張りがふざけてか、単に目覚めて寝惚けたのか
夜風を切って海猫が1羽、研究室に飛び込んできた
海猫は真っ直ぐ電灯に突き当たり
自分でも驚いたのか羽根を激しくばたつかせ
壁に天井にと逃げ場を求めて飛び回る
不意の闖入者に驚きながらも成り行きを面白く見守る孔雀石の上に、鳥の羽根が舞い落ちた
最初の一撃で電灯が外れ、室内は黒く白く明滅し
ペッツ博士も論文を書いている場合でなく、仕方なしに立ち上がる
暴れる海猫を博士が追う間にカラベラスは電灯を直しにかかった
円卓に上り電灯に手を伸ばしたとき、白衣の裾が洋杯を引っ掛けた
助手の短い叫びにペッツ博士が振り返れば、背後に回り込む影を見た
カチリと目が合い
次の瞬間、影は矢羽根のごとく研究室から逃げ出した
漸く電灯が元に戻れば海猫の姿は既になく、
机に置かれた書籍は崩れ
飛び散る羽根羽根
溢れたジュースの甘い香り
と部屋は混乱
「何てことだ、」
「博士がご無事で何よりです」
抱きついてきたカラベラスに肘打ちし、ペッツ博士は尋ねた
「きみ、少年を見なかったか?」
「いつ、どこで、どんな少年をです?」
「今、ここで、容貌はよく分からないな
何せ一瞬だった」
ペッツ博士の常人離れした言動に慣れているカラベラスも流石に首を捻って見せる
「いいえ、幽霊でも見られたのですか?」
「足りない、」
呟く博士は標本箱の中身を1つづつ丁寧に拾い上げていく
「孔雀石だ」
博士が顔を上げたと同時、廊下の方で叫び声が上がり
続いて水音が響いた
「何だ?」
「プールに誰か落ちたのでは?」
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