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16にしおりをはさみました!
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16
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「ありがとうございます」
「狡いですね、博士」
腰に伸ばされたカラベラスの手を博士が叩いた
「君も共犯だ」
アズルはエイラートの涙を拭う
「もう泣かなくていいよ
僕らは一緒に帰れるんだ」
「いいのかい?
その子は記憶喪失の君を孔雀石に仕立てて逃げようとしたんだぜ?」
セロジネの警告にアズルは無邪気に微笑んだ
「僕、弟が欲しかったんです」
月が帳を下ろし、辺りを柔らかく照らす
扉の前でペッツ博士がエイラートを見下ろした
「私たちがジュースをこぼしたりしなければ
君はあの美しい孔雀石でいられたものを」
言葉に込められた羨望を感じ、エイラートは博士を見上げた
「僕が孔雀石だったけれど人間になれて嬉しいように
博士、あなたは人間だけれど鉱石になりたいのですね」
博士は何も言わずエイラートの頬に初めて優しく触れた
配達用の自転車を入口へ運ぶセロジネにカラベラスが近付く
「今夜の監視は終わりですか?」
「監視?、なんのことです」
鉱石博士の助手には勿体無い容貌に蠱惑的な笑みを浮かべ
カラベラスはセロジネの襟を強くつかむ
「貴方は当局に言われ我々を監視しているんだ
否、博士を
博士が幻の鉱石を使い人を思いのまま操る秘薬を完成させはしないかとね」
「まさか、そんな」
セロジネが両手を上げるがカラベラスは逃がさない
「残念だったな
博士はそんなものとっくに完成させている
でも俺が貴方達には渡しはしない
秘薬も、博士も」
優しい月明かりも暗い瞳に宿れば妖しい輝きになるのだとセロジネは思った
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