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仄かな灯4にしおりをはさみました!
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仄かな灯4
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「春斗?どうかした?」
仁の心配そうな顔
「ううん、なんでもねーよ」
こうやって2人でいても、どこか遠くに感じる
もっと近づきたい
何を考えてるのか、何がしたいのか
知りたいし、知って欲しい
「あのさ。前、家族で川来たことあるっていったろ?」
ぽとりと小さな火の玉が落ちて
俺はもう一本つける
「あの時は、父さんも母さんも優しかったから。本当に、幸せだったんだよ」
俺だって、途中までは普通だったんだ
幸せで、家族で笑いあってた
嫌なことばっかりじゃなかったって
知って欲しい
仁のもぽとりと落ちて
仁は火をつけずに俺を見てた
「…前から言おうと、思ってたんだけど。」
遠慮がちに仁は言った
「春斗の母親は、どこに行ったんだ?
お前が辛い目にあってるのに、なんで…」
助けに来ない
助けも呼ばない
母さんには、何があったか言わない
「離婚の原因は、知らない。でも、出て行く日の事は覚えてるよ。」
あの日
母さんは大きな荷物を持って、泣きながら言った
『ごめんね。…春斗、ごめんね』
震える声は、どこか白々しく感じた
「なんで謝るのか意味はわからないけど。母さんは最初から、俺を連れて行くつもりは無いんだなぁって、分かったから」
分かったから、助けを呼ばなかった
またぽとりと落ちて、周りは薄暗闇になる
連れてってくれるかもとか
一緒にいてくれるかもとか
そういう希望も、こんな風にぽとりと落ちてった気がする
感覚も、似てる
残念だと思うのに
仕方ないことなんだとも、思う
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