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変なの。俊哉sideにしおりをはさみました!
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変なの。俊哉side
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新年明けの、始業式。
教室に戻るときの踊り場で、後ろから肩を叩かれて振り返ると、軽い微笑みを浮かべた米原くんがいた。
思わず身体が硬直する。
「…幸せ?」
「は…?」
何を言っているのか理解出来なくて、米原くんを僅かに見上げる。
立ち止まった俺たちを避けて進む皆。
やがて周りには誰もいなくなった。
「拓海と両思い、だったでしょ?」
「なっ…?!…んで、知って…」
知られている、しかもこの口の軽そうな男に。
皆にばれたら、どうしよう。
そんな考えが一瞬頭をよぎった。
「大丈夫、俺何も言わないよ。ほら、指切り。」
はい、と差し出された骨ばった細長い指に、つられるように小指を当てた。
くるっと絡められ、上下に軽く振られる。
「学校では我慢するんだよー」
にへら、と笑って俺の先に進んで行く米原くんの、その薄い笑顔に一瞬だけ、幸せそうな表情が見えた。
そのとき、誰を思ったんだろう。
米原くんは変で、掴めなくて、侮れない人。
俺も教室への道を急いだ。
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