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ずるいよねにしおりをはさみました!
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ずるいよね
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「なんていうか、今日のは…真山だけが悪いわけじゃないし」
ほっぺちゅー未遂と、あーんの強要に関しては、確かに真山が悪いけど。
しかも、真山が意図的に俺の分のスプーンを貰ってこなかったせいで、公開間接キスする羽目になったのは、マジでたち悪いと思うけど。
「あんだけ煽ってきたあいつらも悪いと思うし、ギャラリーが集まってきたのだって、あいつらがギャーギャーうるさかったからだし…」
まぁ、そのみんながギャーギャー叫ぶ原因を作ったのは、クリームぺろってした真山なんだけど。
(…あー、最悪…思い出しちゃった……)
あれはマジで、間接キスの上を行く恥ずかしさだった。
少女マンガで見るような、すげーベタなシチュエーションだけど、実際にされるとやばい。
恥ずかしすぎてブッ倒れるんじゃないかと思った。
「…藤川?顔赤いけど大丈夫か?」
「え?あぁ、大丈夫!」
大丈夫じゃない、熱い。
けど、そんなこと言ってる場合じゃない。
「とにかく、真山のせいだけじゃないから…そんな気にすんなよ」
正直、今さっき冷静に思い返してみたら、7割近く真山のせいな気がしなくもないけど、それは置いといて。
さっき真山が言っていた、自己中で寂しいセリフを思い出す。
『…これからはもう…必要以上に藤川のそばにいないようにするね』
(…あんなこと言われて、はいそうですかなんて簡単に聞けるわけないだろ)
無理して笑っても無駄だ。
笑顔が、すげー寂しそうだったから。
あんな決意、早いところ諦めさせなきゃいけない。
「…優しいんだな、藤川は」
困ったように笑って、近くにあった椅子に座る真山。
よくわからないけど、俺も隣に椅子を持ってきて座る。
「…あんなにみんなに冷やかされたのに、まだそばにいていいの?」
「…俺がいいって言ってんだから、いいんだよ」
ほっぺにちゅーされようが、公開間接キスされようが。
真山がそばにいないのと比べたら、よっぽどマシだ。
「…それより、勝手に“俺のそばにいないようにする”なんて…そんなの許さないからな」
「……なんで今日は、そんなに可愛いの?」
「え?」
何が?
やばい、いま俺なんかヘンなこと言ったっけ、と考えていると、ガタン、と真山が立ち上がった。
はぁ、とため息をついて、呆れたように笑いながら俺を見る。
「……ずるいよね、藤川って」
「は?なに…」
「何でもない」
「はぁ…!?」
いやいやいや、意味がわからない。
え、なんか…え?
俺ずるいの?何が?
「…帰ろうか、藤川」
「あ、うん…」
なんかちょっともやもやしたけど、その時に見た真山の笑顔が今日一できれいで、その日にあったいろいろは、全部ふっ飛んでしまった。
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