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二人の夏休み …6にしおりをはさみました!
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二人の夏休み …6
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朝食を食べ終えて、コーヒーを飲みながらテレビを見ていたら、どこかの花火大会が映し出された。
「あ、花火、見に行きたいなぁ…」
俺がそう呟くと、雅治さんが「花火か…」と呟いて、スマホを弄りだした。
しばらくして…
「今日茨城で花火やるみたいだけど…行く?」
って聞いてくれた。
「わ!行きたいです!でも、遠くないですか?」
「茨城って言っても、千葉寄りだよ。車で1時間半くらいかな?…あ、千葉の方でも花火大会あるみたいだけど…。まあ、遠い方が知り合いに会う確率が減るし、茨城にしよう」
そう言って、何かを調べるのか、またスマホを弄りだした。
昼前に雅治さんのマンションを出た。
昼休憩を入れながらドライブがてらのんびり走った。
早く出たおかげか特に渋滞にもあわず、予定通り着いて、会場近くの駐車場も確保した。
「さて、花火の前に屋台でも見て回ろうか?」
「屋台あるんですか?」
「花火大会って言っても、夏まつりのフィナーレの花火みたいだね。屋台もあるし…舞台でイベントもやってるみたいだね」
「わ!楽しそう!あ、いか焼き食べたいです!」
「はは。いいね」
そんな話をしながら、お祭りの会場に向かった。
お祭りなんていつぶりだろう?
なんかワクワクする。
屋台から食べ物の香りがするたびに、食べたくなるし…
ゲーム見るとやりたくなるし…
ああっ!目も鼻も忙しいっ!
俺がキョロキョロしてると、雅治さんがとなりでため息を吐くのが分かった。
「あ…ごめんなさい。一人ではしゃいで…」
見上げた雅治さんは、ハリウッドオーラ全開。
「いや、陸じゃないよ」
雅治さんは俺の耳元に口を寄せて呟いた。
俺じゃないなら、なんだろう?
「あ、陸、チーズボール食べよう」
突然雅治さんが、立ち止まって、すぐそばの屋台を覗き込んだ。
「チーズボール好きなんですか?」
「いや…さっきから俺の隣を歩いてた女が、ずっと俺のこと見てて…逃げた」
「プッ!逃げたって!」
「笑い事じゃないよ。俺は今日、誰にも邪魔されたくないんだ」
そう言いながら、チーズボールの刺さった串を一本買って「どうぞ」と、俺に持たせてくれた。
「ありがとうございます」
ふふ…
邪魔されたくない、だって。
ハフハフしながら、チーズボールを頬張る。
「ん…ほいひぃ…あふ…」
美味しい、けど、頬張るにはちょっと熱かった。
再び歩き出したところで、雅治さんがまたため息を吐く。
「あー。待ち伏せされてた」
と、ハリウッドオーラに上乗せで、怖い顔を作った。
俺も認識した。
二人組の女の子が、雅治さんを見ながら近寄ってきて、雅治さんのすぐそばを歩き出した。
声をかけるタイミングを見計らってるみたい。
…モテる人って、大変だなぁ。
あ、そうだ。
「チーズボール、雅治さんも食べます?」
「ん?陸が全部食べていいよ」
「美味しいですよ?あ、ちょっと待ってくださいね」
チーズボールの熱さを思い出して、フーフーと冷ますように息を吹きかけた。
「はい」
雅治さんの口もとにひょいっと差し出すと、雅治さんが一瞬躊躇った。
あ、人前で「あーん」はないか…と、手を引っ込めようとしたら、雅治さんが俺の手ごと串を持つように手を重ねて、パクリと串に食い付いた。
雅治さんを見ていた女二人が「あっ」と声をあげた。
「…ん…………美味い」
そう言って微笑んでくれた顔は、心なしか赤い気がした。
けど、そんな事より俺は、チーズボールの油でほんのり光る唇に目が行ってしまった。
それをペロリと拭う舌が、なぜかいやらしく見える。
ヤバい…
触れたい…
こんな明るい場所で変な気分になるのは、きっと朝の…雅治さんのイタズラのせいだ。
そんなモヤモヤを断ち切るように、残りのチーズボールを頬張った。
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