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手のひらから始まる …2にしおりをはさみました!
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手のひらから始まる …2
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雅治さんも、あの時のことを思い出してるのだろうか?
チラッと横顔を見ると、何かを考えるように円柱の水槽を眺めていた。
この唇に…ここでキスされた。
ドラマみたいに。
あー…思い出したら恥ずかしい…
けど、あれがあったからこそ今の俺たちがある。
ふと思い立って、スマホを取り出して、イルカを写真に収めた。
「記念〜」
そう言って笑って雅治さんを見ると、雅治さんが蕩けそうなほどに甘い笑顔で俺の事を見た。
「っ!」
ボッと顔に火がついたのが分かった。
誤魔化すようにスマホに目をやる。
「あっ!あと15分で閉館だよ?…もう行く?」
雅治さんにそう言うと、雅治さんが俺の手からスマホを奪って自分のジーンズのポケットにしまうと、空いた俺の手を握った。
向かい合わせで、両手を包まれてる状態だ。
えっ?ちょっ?
慌てて周りを見るけど、幸い誰もいなかった。
「陸…大事な話がある」
俺を真っ直ぐ見つめた雅治さんが、そう言った。
「な、何?」
今のこの状況と、雅治さんの真剣な顔に、心臓が痛いくらいにドキドキと音を立てた。
なにっ⁈
もしかして…昔のことを思い出して、キス、したくなっちゃった…とかっ⁈
恥ずかしい!!
小さく、深呼吸するかのように息を吐いた雅治さんが、ゆっくりと口を開いた。
「俺と…結婚しよう」
………え?
フリーズした。
俺が。
雅治さん、今、何て言った?
雅治さんのその突然渡された言葉が、頭の中を駆け巡る。
だけど、その意味を上手く飲み込めない。
突然過ぎて…その…
「あ……え……っと」
何か…何か言わなきゃと思うけど、頭が真っ白になって、何も出てこない。
「ダメ…か?」
雅治さんが、真剣な目で俺を見つめる。
何か言わなきゃ…何か…
「お…オレ……男…だよ?」
今さら何を…と、頭のどこかで冷静な俺が突っ込んだ。
だけど、そんな言葉しか出てこなかった。
「知ってるよ。…もちろん、男同士で結婚出来ない事も分かってる。でも、俺は陸と結婚したいんだ。…いつか、この先…必ず、日本でも同性婚が認められる時が来る。ってゆーか、俺はそう信じている。…その時、俺と一緒になって欲しい」
ゆっくりと、目を見て話してくれる雅治さんの言葉が、少しずつ、俺の心に降りてくる。
結婚?
雅治さんと、結婚?
俺が…いつか、雅治さんと夫婦になれるの?
「陸。俺と、結婚してください」
「…っ!」
今度の言葉は…ちゃんと受け止められた。
同時に、熱いものが喉にせり上がってくる。
返事しなきゃ、何か言わなきゃ、と思うのに、喉がキュウッとなって、声が出ない。
代わりに、涙が溢れた。
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