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妖怪化学 1にしおりをはさみました!
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妖怪化学 1
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気持ちの良い、爽やかな風に木々が揺れる。
グラウンドに整列する生徒の顔を見渡しながら、楠先生はマイクを使い、話し出す。
「はぁい。皆さん、お待ちかねの妖力解放の授業ですよぉ」
先生の声に、ガヤガヤしていた生徒たちも静かになる。
妖力の使い方を詳しく伝えられ、唯一、自分の本当の姿でいる事を許される場でもあるためか、生徒たちはこの日を待ち望んでいたらしい。
正直俺も、自分の力が初めてわかる日だから、楽しみにしていた。
だって、今の俺って、普通の人間と変わらないし。
どうせ妖怪なら、なんか凄い能力欲しいな〜って、開き直ってみた。
「ではみなさぁん、まずは変化の術を解きましょうねぇ」
その声を聞くと、待ってましたとばかりに生徒は変化を解いていく。
恐ろしい身なりをした者から、可愛い者まで様々だ。
「...ッ」
正直に言うと、怖い。
今の今まで人間と変わらない姿をしていた彼奴らが、本当に人間じゃなくて、妖怪なんだと思い知らされる。
ぼむっと音を立て、隣にいた稜と阿久津が変化を解く。
鎌鼬の姿になった稜は、いつもより小さくて、それでいて恐ろしく、両手に付いている鋭利な鎌が、嫌に光っていた。
ああ、稜も、妖怪だ。
「...僕が怖い?」
そう問いかける稜の目は、少し寂しそうだった。
稜の隣に立つ阿久津は、短かった赤い髪が肩まで伸び、四方八方に跳ねている。おでこからメリッと小さく生えたツノも、異様な雰囲気を醸し出している。
人型の妖怪なだけあって、見た目はさほど人間の時と変わらない様だ。
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