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動き出す闇 8にしおりをはさみました!
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動き出す闇 8
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-銀司-
抱き寄せた愛しい身体が、重く、鈍く、心を震わせる。
間に合わなかった。
若葉は深く傷つけられた。
「この学園にいる間は俺が守る」
なんて格好つけといて、このザマかよ
心の中で、大きく悪態を吐く。
血の気のない顔
紫色の唇
首筋に開いた痛々しい穴
流れる血
その全てを見るたびに、壊れてしまいそうだった。
若葉をこんな風にした男を
殺したい。
ぐちゃぐちゃにして、引き裂いて
この世のものとは思えぬ悪夢を見せて
ゆっくり、ゆっくりと
なぶり殺してやりたい。
男の方に視線をやれば、怒りに満ちた右京の顔。表情のない冷えた顔で男を抑える鞍馬の姿も見える。
若葉をそっと横たえて、人の姿で立ち上がる。
「すまない、右京、鞍馬。少し、どいてくれ」
冷えた声が、その場に響く。
気を失いそうな男の首を、力を込めて握りしめ、持ち上げる。
「ぁぅ...グガァアッァア、ガッ!!」
苦しそうにもがき、泡を吹く男に吐き気がする。
「テメェの目的は何だ?クセェな。西洋の血の匂いがする」
そのまま男を地面に叩きつけると、男は苦しさにのたうち回る。
顔面を思い切り持ち上げ、無理やり目を合わせる。
「もう一度聞く。テメェの目的は何だ?」
歯をガチガチと鳴らせながら、男は口を開く。
「和...鬼.....狩り...妖、怪......全、滅、我等の...望、ッグァアアア、アア........ッ」
喚く男の喉を爪を立て、ゆっくり引き裂いた。
もうこの男は用済みだ。
こいつは確かに【我等】と言った。
ならば他に仲間がいるわけだ。
西洋の鬼だ。
西洋の鬼が、何をしに来た?
【和の鬼狩り】
【妖怪全滅】
要するに、日本を乗っ取ろうってのか?
「ふざけんじゃねぇ」
荒い息を細かく繰り返す若葉を抱きかかえ、急いで医務室へと向かう。
絶対に許さねぇ。
そう、心に誓いながら。
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