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動き出す闇 9にしおりをはさみました!
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動き出す闇 9
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-若葉-
酷く広い、白の世界。
ふわりと吹く風も無く、草花香る心地よさも無い。
此処はどこだろう。
静かに立ち上がろうとするも、足に力が入らない。
「....おかしいな」
ゆっくりと両手を見ると、真っ赤に染まった掌が目に飛び込む。
「ひッ...う....、」
驚きに漏れた声を拾う者は居らず、震える両手でゆっくりと、自分を抱き抱える。
酷く恐ろしい思いをした様だ。
まるで他人事のように、脳がそう告げる。
もうこのまま何処へも行かず、終わってしまいたい。
どうして
俺は、普通の人間として
最後まで生きていきたかったのに
どうして、俺は
【鬼】なんだろう。
震える体を抑え込むように、小さく身を丸める。
消えてしまいたい。
居なくなりたい。
負の言葉が、連鎖する。
( わかば )
遠くの方から、俺を呼ぶ声
聞きなれた声の筈なのに
誰の声だったか思い出せない。
大切な人だったはずなのに
俺の名を呼ばないでくれと
心が拒んでしまう。
( わかば )
いやだ、そっちに行きたくない。
あなたには会いたいけど
こわいのはもういやだ
全てから逃げるように、その真っ白な世界で、目をつぶった。
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