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動き出す闇 10にしおりをはさみました!
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動き出す闇 10
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ぼやける視界の中で、綺麗なエメラルドグリーンのカーテンがふわふわと揺れる。
涼しげな風と共に、微かに香る草花の存在が、やけに清々しい気持ちにさせた。
右手に感じる温もりと、腹部に感じる重量感。
視線を落とせば、愛しい人の寝顔が浮かぶ。
ああ、そうか
俺、この人に呼び戻されたんだ。
少しやつれたその表情に、胸が痛む。
身体を起こしたい気持ちに駆られるが、鉛のように重たい身体は、ビクリとも動かない。
「銀司、さん」
声を絞り出すと、痛みが襲ってくる。
その痛みと共に、浮かぶあの光景。
倒れる阿久津と呼詠。
首筋にかかる穢らわしい吐息
稜の泣き叫ぶ顔
みんなは
みんなは、どうなったの?
阿久津と呼詠は無事なの?
聞きたいことは沢山あるのに、
うまく息が吸えない。
ねえ、銀司さん。
俺、どうなったの?
「....ッ」
静かに流れる涙。
銀司、さんの手を握りしめると、わずかに動いた。
「....ん.....わか、ば....若葉ッ!?」
飛び起きた銀司さんが、俺の頬を掴む。
「良かった....」
コツン、と寄せられたおでこから伝わる体温が、心地よかった。
「ぎ、じさ、俺..」
「ばか、まだ喋んな。全部、説明してやるから」
親指で涙を拭われる。
「まず、阿久津と不和は無事だ。違うベッドで2人とも、今は寝てる。不幸中の幸い、怪我人はお前達3人だけだった。今は理事長を筆頭に、教師含め生徒会、風紀委員で緊急会議を開いているところだ。」
銀司さんの言葉に応えるように、手をキュッと握る。
そっか、良かった。
みんな無事だったんだ。
阿久津と呼詠も、他の生徒も。
その事実に、安堵の涙が溢れる。
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