アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
Breakdownにしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
Breakdown
-
殴られるよりも蹴られるよりも、母さんを失うことが一番怖い_______
気がつけば朝日が昇っていて、暗かった部屋には光が差し込んでいた。
僕はようやく立ち上がると、着替えて荷物をまとめ、朝食も食べずに家を出た。
冬の低い朝日が眩しくて目を伏せる。
頭の芯がズキンズキンと脈打ちながら痛む。
冷たい空気と眩しすぎる朝日が、頭痛を助長した。
__________
「はい、終了です。後ろの席の人は解答用紙を集めてきてください」
期末試験、最後の科目が終わった。
ろくに働かない頭で埋めるだけ埋めた解答用紙を提出する。
勉強だけが取り柄なのにこのザマじゃ、何の為にここにいるのか分からないな…
こんな出来なら、テスト中バイトを休まなくても結果は変わらなかっただろう。
いや、むしろバイトしていた方が一条に弄ばれてこんなに寝不足になることもなかったかもしれない。
バイトも勉強も、何もかも中途半端。
一条は自分勝手で、母さんは自殺を図る。
今まであまり考えないようにしてきたが、何で………何でこんなに、苦しまなきゃいけないんだろう。
なんでこうも僕に不幸が重なるんだろう…
一条が来たせい?
いや、もっと前から…
…父さんの死からだ。
…何だ、結局自分のせいじゃないか。
自分で自分の首を絞めているだけじゃないか。
「葵ー、今日何時にうち来る?……葵?」
潤に顔を覗き込まれ、現実に引き戻される。
周りを見回すと、既にほとんどの生徒が下校していた。
「えっと……ごめん、何の話だっけ」
「ほら、この前言ったろ?母さんがお前を家に呼びたがってるって。
…ぼーっとして、大丈夫か?」
心配そうな面持ちの潤と目を合わせられなくて、口元を隠しながら斜め下に目を移す。
「あ、えと………ごめん、急用が入っちゃって、行けなくなった…お母さんにも謝っておいて」
急用なんてないが、今は人と上手く話せそうもない。
潤や潤のお母さんに会っても普通でいるのは無理だ。
母さんのことも心配だし、早く家に帰ろう。
「本当ごめん。僕もう帰らなきゃ、」
そそくさと立ち上がる。
すると、脳みそが不安定に揺れ、体が後ろに引かれるような感覚に陥った。
白んでいく視界。
遠のく意識…
バタンという音と衝撃の後、潤の声が遠くで聞こえたが、応えることはできなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
71 / 180