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そん時は、よろしく。にしおりをはさみました!
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そん時は、よろしく。
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最後尾へと着いて、並ぶこと50分。
人混みの先頭で微かにお賽銭を投げる動作が見えてきた。
やっと、だ。
俺達が先頭に行けるまで、一体どんだけかかるんだ・・・?
ホント、もう少し遅い時期にずらすべきだったな。
まぁ、8日もずらしたからこの程度の時間で済んでるんだろうが。
俺は溜息を1つし、相変わらず一人で喋り倒す・・・
いや、俺や奏に話しかけてるつもりなんだろうが。
でも大体聞き流されてるから独り言みたいなもんか。
とにかく一人で何か騒ぐ雪里をじっとりと見つめた後、俺の横であからさまにそわそわしている奏に目をやった。
血の気の引いた青白い顔、寒さだけじゃ説明つかない紫の唇、その先から漏れるやけにゆっくりした浅い息。
このままじゃ倒れるな、コイツ。
普段だったら奏くらいおんぶできるし、小1時間くらい担ぎ続ける自信はある。
が、後ろにぴったり人がくっついてる今は、ちょっと無理がある。
並んで一歩ずつ進むことしか出来ない。
いざとなったら無理を承知でやるしかないが、何か対策は無いんだろうか・・・?
せめてお参りするまで、賽銭箱の前に到着するまで。
俺はふと、列を逆走する、参拝をし終えた人達に目がいった。
そして、思いついた。
時間稼ぎにもならない、対策なんて甚だしい策を。
俺は静かに、でも確実に奏の左手を掴んだ。
すぐさま反応した奏が、困惑と恥じらいを混ぜたような顔をこちらに向けた。
『りっちゃん・・・?』
「気休めにもなんねぇーだろうが、な。
限界が来たら早めに言えよ?」
正直、子ども扱いし過ぎだな、とは思ったし、人目がある中こんな事するのは気が引けた。
だが、これしか良いようなもんが思いつかなかった。
奏が喜んで、元気出してくれることが一番だからな。
それに、人混みの中だからこそ、あまり目立たないかもしれないし。
俺の右横で、奏が嬉しそうに微笑み、ギュッと俺の手を握り締める。
それに応えて俺は握り返す、が、急激に襲い掛かる甘ったるさに何とも言えなくなり、ふいっと首を横にずらした。
やって後悔はしてない・・・が、非常にこの後が面倒臭い。
そんな俺に追い打ちを掛けるが如く、目の前から悲鳴とも雄叫びと言える大声が響く。
『な゛ぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~にしてくれちゃってんのさぁ!?』
『手、繋いでるの。りっちゃんと。』
奏がわざとらしく繋いだ手を雪里の前に突き出す。
当然、引っ張られる形で俺も見せつけるような感じになるわけで。
やめろ、と手を振り払おうとするも、なぜだか雪里にがっちり掴まれ解けない。
「何するつもりなんだ?」
『別にぃ~、ズルいなぁ~と思って。』
だったらオマエが引き離せばいいだろ。
なんで繋いである手をさらに掴んでんだよっ!
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