アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
そん時は、よろしく。にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
そん時は、よろしく。
-
「柏崎・・・・」
俺の呟きに、わざとなのかは分からないが、“はい”と律儀に返事をする。
笑ったまま。
学期末最後の部活以来だから三週間ぶりだろうか。
そこまで久々ではないのだが、会わない日が続くと、笑顔に不気味さが増したように感じる。
新年に会いたくなるような奴じゃないな、やっぱり。
『もう年が明けて8日も経ってますけどね。』
「揚げ足取るな。
つーか、勝手に人の心ん中読むんじゃねェーよ。」
『読もうと思わなくても分かっちゃいますよ。
上村先輩、顔に出やすいし、本音が口から漏れてる時ありますし。』
クククッと、堪え切れていない笑いをし、更に柏崎の目が細まる。
相変わらず、というかなんというか。
食えない奴だな、ホント。
『ありがとうございます。』
「褒めてない。」
“分かってますよ”とまた柏崎は笑う。
ったく、コイツは新年になっても何も変わらないんだな・・・
いや、知ってはいたけどな、こういう奴だって。
にしても、なんでこんな時に遭遇するんだろうな。
つーか、なんでコイツ、俺を引っ張ってきたんだ?
ってか、柏崎・・・。
「なんでそんな恰好してんだよ?」
「???」
俺の問いに柏崎は首をかしげる。
しかし、俺の目線が自分の着ているものにいっていることが分かり、“ああ”と短く発し、
また目を細めた。
『バイトですよ。
ここの神主さんとは浅からぬ仲で、この時期は毎年手伝いを頼まれるんです。』
「へぇ~・・・」
俺はまじまじと柏崎を見た。
さっき見たお守りを売ってた巫女さんと同じ、白と赤の典型的な巫女服。
それから伸びる、白くて細い腕。
中身を知らない人ならば、不自然には全く見えない微笑み。
俺はもう一度、“へぇ~”と感嘆の声を漏らした。
その意味が図らないのか、柏崎は首を傾けた。
『先輩?どうかしたんですか?』
「いや、似合ってるな、と。」
俺の言葉で、柏崎の眉がハの字になる。
なぜそこで困るんだよ・・・
今度はこちらが困惑し、柏崎が少しムッとした風な口調で話し出す。
『無自覚ほど罪深いものはないですよね。』
「はぁ?本当のこと言っただけだろ?」
『だから余計、罪なんですよ。』
柏崎は“やれやれ”と手を横に広げ首を左右に振る。
かな~りバカにされてるらしいな、俺。
ホント、何なんだよ、コイツ。
俺はささっとあの戦場に戻らなきゃならないのに。
ってか、そろそろ俺を引っ張ってまで戦線離脱させた理由を言ってくれないか?
俺は時間も気力もあんまり残ってないんだから。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
118 / 124