アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
悪いかよ。にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
悪いかよ。
-
ぱっ、と聖也さんの指から手帳が落とされる。
ボクはそれを受け止め、まじまじとプリクラ帳を見つめた。
1番最近の雪里さんとのページから、数ページ開けた所に、ボクとのプリクラが貼ってあった。
それには、後で書き足されたように、"奏と初プリ"と記されていた。
"これからも、一緒に撮っていい"
そう告げるように、ボクのページが作られていた。
「聖也さん・・・」
再び、視界が涙でボヤけてくる。
聖也さんは、ボクの肩に手を置き、
"さらにね"と、いたずらっ子の笑みを浮かべた。
彼の指には、一枚の写真が挟まれていた。
ボクは目を見開き、聖也さんから奪い取るようにして写真を剥ぎ取った。
写真の中には、
うさぎフードとバニーに挟まれて迷惑そうな顔をする、りっちゃんが居た。
「こ、これ、文化祭の・・・」
『机の中に、パッケージの開いてない写真立てと一緒に入ってました。』
"隠す必要ないのにね"と、ニヤリと笑う聖也とは逆に、
ボクは写真と手帳を抱え、泣き崩れる。
文化祭の時、写真部の人に撮ってもらった、スリーショット。
長谷川とりっちゃんを争いながら、
でも楽しく映った。
りっちゃんは、"あんなん写真じゃねぇ"なんて拗ねてた。
「貰ってきて・・・くれたんだぁ・・・」
嬉しい・・・っ、
嬉しいよ・・・
しゃくりあげるボクの背中を、聖也さんが優しく摩ってくれる。
その手の動きも、りっちゃんと似ていた。
『心配いりませんよ。
律の中に、奏君はちゃんと居ます。
安心してください。』
"本人は口にしないだろうけど"と、
聖也さんが苦笑いをする。
ボクは、"そうですね"と、泣き笑いで返した。
ふっ、と聖也さんが遠い目をする。
ボクは、それをただ見つめ、言葉を待った。
『律のあんなに楽しそうな姿、久しぶりに見ました。』
「えっ・・・?」
意外な言葉に、ボクは疑いの意味も込めて訊き返した。
りっちゃんが楽しそう・・・?
確かに、微笑んだり、からかったりすることが増えたけど・・・
疑念があからさまだったからか、
聖也さんが苦笑いをする。
そしてまた、遠い目をした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
110 / 124