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悪いかよ。にしおりをはさみました!
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悪いかよ。
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リビングの外から、カサカサと物音が聴こえ始めた。
"りっちゃんかな?"と思い、ボクは立ち上がろうとする。
膝の上からボトッと落ちる、手帳。
あ!、と思った時には、もうリビングの扉が開かれ、中に2人が入って来てしまった。
ボクと聖也さんは、慌ててそれらを拾い上げ、背中に隠す。
"ただいま"と告げる2人に、平静を装って返事をした。
しかし、りっちゃんは騙せても、後ろの目敏いバカにバレてしまった。
『何隠してんのさぁ??
見せてみぃ!』
ボクの背中に廻ったバカを、ボクはこれでもかと睨む。
しかし、バカの態度にピンときたりっちゃんの手によって、聖也さんが隠した手帳が取り上げられてしまう。
それに気を取られたボクから、バカが写真を奪い取る。
『親父、テメェ、人の部屋勝手に入るんじゃねぇーよっ!』
蹴り飛ばされる聖也さん。
"律の照れ屋さん♪"と、写真をひらひらさせるバカも、頭を殴られた。
そしてボクも、つかつかと歩み寄ってきたりっちゃんによって、頬をギリギリとつねられた。
"ごめんなさい"と涙目で訴えると、
"まったく"と、不機嫌な声で返してくれ、手も離してくれた。
怒ってると言うより、恥ずかしさを隠しているような表情のりっちゃん。
そんな彼の服の裾を、ボクは遠慮がちに摘まんだ。
"りっちゃん"と名前を呼ぶと、照れ臭そうに口を開いた。
『悪いかよ。
こういうの大切にする奴なんだよ、
俺は。』
ボクは思いっきり首を横に振る。
そしてりっちゃんを真っ直ぐ見つめた。
「りっちゃん、ありがとう。
来年も、よろしくね?」
『別に。
こちらこそ。』
りっちゃんは、照れながらボクのおでこをパチンと弾いた。
握っていたスーパーの袋を突き出し、"ほらよ"と言ってボクに渡してくれる。
ボクが受け取るのを確認すると、
鼻を鳴らして大股でリビングから出ていってしまう。
照れを冷やかす2人に、もう一度蹴りを入れてから。
ボクはその背中を見つめながら、
ふっ、と微笑んだ。
りっちゃん。
ボクの側に居てくれて、ありがとう。
好きな人と一緒に居られて、
ボクの今年は、とても幸せな毎日でした。
また来年も、キミと一緒に居たいです。
来年だけじゃない。
ずっとずっと一緒に居たいです。
キミの心の中に、居続けたいです。
わがまま、かな?
でも、思うだけなら、
許してくれるよね?
りっちゃんの優しさに、甘えてもいいよね?
その代わり、
キミの笑顔が続くように、
ボクもいっぱい努力、するから。
キミとの思い出に、誓います。
来年も再来年も、愛し続けます。
カッコ良く、照れ屋で優しい、
キミを。
?奏side? END
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