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桜並木と金髪 .1にしおりをはさみました!
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桜並木と金髪 .1
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那雪side
「…あ」
満開の桜並木の中、高校の入学式を終えた俺は、
ちょっと不思議な目の前の景色をじっと、ただ見つめていた。
「…にゃぁおぉ~…恐くないから、おいでぇ~…?」
日の光りに照らされた、透き通るような明るい金髪。
猫なで声で木の上にいるソイツは、少し離れた所にいる猫に話しかけていた。
ミシッ…ミシッ…
桜の枝が折れるような音がする。
まだ、当の本人は気付いていないのだろう…俺の存在も、折れそうな木の事も。
………無視する事だって出来た。
だけど、目が話せなかった…風に靡くその金髪を、雪のような白い肌を。
嫌でも思い出す、指先から冷えていくような…冷たい思い出。
……に…その人は何処か似ていて、胸が痛くなる。
だから、声をかけてその場から離れようとした…これ以上あの金髪を見ないためにも。
「あの~!この枝危ないですよ~っ!」
俺の声に気付いたソイツが、ビクリッと体を揺らし…
腕時計を見て慌てたのか後に体重をかけた瞬間、ついに桜の枝が折れた。
スローモーションのように落ちる身体。
気が付いたら、滑り込んで落ちた身体を受け止めていた。
「ッ……ぅりゃ…!」
「ひぁ…ッ…!」
ビックリするぐらい軽い体に白い肌。
さらさらの金髪が揺れて、長いまつ毛に彩られた青い瞳が俺を映す。
見下ろした、触れたら割れてしまいそうな程、儚そうで…だけど綺麗な、
あの人に似た目の前の人を見つめる。
「えと…大丈ーー…ぐぁッ!?」
同じように俺を見つめていた青い瞳が揺れて、
雪のように白かった頬が段々と、桃色に染まっていく。
不覚にも、俺がそれに見とれてしまった瞬間、
何故か俺は殴られていた。
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