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絶望と希望.6にしおりをはさみました!
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絶望と希望.6
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那雪side
「………はぁ…」
思わず溜め息だ出た。
最近の桜は変だ……急に痩せて、悲しげな顔をするようになった。
何度もどうしたのか聞いても、桜は答えようとしない。
静かに手元の資料を見る。
俺達の組と敵対している、赤蜘蛛というヤクザの組織……
アネモネが属していた組織が最近やけに活発で、
俺は言い様の無い不安に刈られた。
「桜…お前、何があったんだよ……」
赤蜘蛛は残虐非道な行動が目立つ組織で、
最近は“薬”に手を染めているという情報もある。
俺達は薬を町に蔓延させないために何個か店を潰したりもして食い止めていたが……
もし、桜に関わりがあったら危ない。
桜の急激な変化に不安が募った。
ガチャ……と扉を開けて出てきたのは信頼のおける部下の笠木と芝澤で。
「……若、ここに居ましたか。実は…天宮 桜について――――――…」
桜の名前が出た時、不意にケータイが鳴り響く。
画面には天宮 桜の文字。
「芝澤ッ……悪い、話は後だ」
通話ボタンを押す手が震える。嫌な予感がした。
「…………もしもし」
「……ッ…なゆ…那雪ッ……お願…ぃ
助けて…ッ………」
電話越しに聞こえた声は、酷く震えていて。
直感的に、桜が赤蜘蛛と関わりがあるのが……危険な立場にいるのが分かった。
「さく――――――ッ…!」
「……ッでも、那雪が…那雪が危険な目にあって欲しくない……!!
俺、俺ッ……逃げちゃったからッ…も、那雪、を…守れない……ッ…ごめんなさい……
ごめ、んなさい……ごめんな…さい…ッ…ごめんなさいッ……」
壊れたレコーダーのように、何度も何度も“ごめんなさい”と繰り返す桜。
近くに葉佑と紅佑がいるのだろう……桜を宥めている声が聞こえる。
「違う。お前は悪くない…今……助けるから」
大丈夫。
出来るだけ、優しくそう呟いた。
桜の痛みが取れるように、もう、泣かないように。
「なゆ――――――…ッ…放せよ…ッ!アンタら誰だよッ…!!
痛ッ…放せ!!二人は関係ないッ…!!嫌ッ…止めろ!!…ッあ、うぐッ……!!」
突然の、複数の足音と、桜の叫び声。
ガシャンッ……とスマホが落ちて、桜達の声が遠くに聞こえる。
「桜!?おいッ…何があった!?桜……さく「志藤那雪だな」――――――…!?」
桜では無い、野太い声。
笑いを含んだ声に、拳が震える。
「桜はどうした」
「アンタの愛しい姫君は、今俺達の腕の中だぜッ……?
志藤那雪。人質を解放してほしければ、●町の●〇倉庫に来い」
電話越しに、男が笑った。
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